ロータリー レンジエクステンダーのデメリットとBMW i3との比較

(Last Updated On: 2018年9月11日)

レンジエクステンダーで先行発売のBMW i3

BMW i3は、電気自動車ですが電力が不足した場合、発電用の専用エンジン(レンジエクステンダー)により、発電を行い走行が可能です。
BMWモーターサイクル用の2気筒4バルブ647ccのガソリンエンジンユニットをリヤに搭載(燃料タンクは9リットル)。
270度クランクを持つ647cc水冷4ストローク並列2気筒エンジンで、ロータックス社との共同開発したものです。
2輪用はアプリリアが製造していますが、i3用は台湾のキムコ社が受託生産を行っているようです。
エンジン最高出力:38ps(28kW)/5000rpm
エンジン最大トルク:56Nm(5.7kgm)/4500rpm
燃費は24.7km/L

すでにEV市販モデルとして2013年から市場に投入され、EVとレンジエクステンダーを合わせた航続距離は500キロを超える性能のマイナーチェンジモデルも登場しています。

レンジエクステンダーの車両重量差は120キロ

  • 車両重量差は120キロ
  • レンジエクステンダー無し:1195kg
  • レンジエクステンダー有り:1315kg

i3のレンジエクステンダーもすでに2013年から市販化されています。

まだ、PHVしか市販化していないトヨタが、どれだけ世界から遅れているのか、わかるでしょうか。
そのような当たり前の事実を知らず「ディーゼルの排気ガスで失敗したのでEV化を進めた欧州」というような記事を書く某ジャーナリストのガラパゴス度に呆れます。
そもそもPHVのラインナップですら、トヨタはBMWの足元にも及ばないのです。(2018年)

マツダのレンジエクステンダーのスペック

マツダのロータリーエンジン(RE)を電気自動車の発電機に使う試作車も2013年に登場しています。

REレンジエクステンダーのベース車両は「リース販売のデミオEV」です。
75kW(102馬力)の駆動用モーターと、20kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載するスペックです。

このデミオEVに、発電装置も搭載して走行距離を伸ばしたものとして「マツダ REレンジエクステンダー」の試作車をプレスリリースしています。
搭載するエンジンは、マツダ得意の330ccのシングルロータリーエンジンを搭載し最高出力は22kW(約30馬力)です。

エンジン最高出力:30ps(22kW)/4500rpm

劇的に軽くもないロータリー・レンジエクステンダー

このロータリーエンジン、発電機、燃料タンクの「3点セット」は、リアサスペンションの後部、つまり荷室の下側に収まり、i3と同様です。
荷室の容量を犠牲にすることなく、走行距離を伸ばす(発電エンジン)機能を持たせた内容もi3と同様です。
この「3点セット」を合計して約100キロの重量となっています。

重量差としては、i3の120キロに対して、REは100キロという数値です。
確かにやや軽いですが、REエンジンが劇的に軽いわけではない様です。

エンジン高は約300mmとなり、レシプロエンジンでは、450mm程度になるということです。
また騒音も、ガソリンエンジンより5dB(A)低くなるそうで、この5dbが劇的に静かな数値と判断できるのか微妙なところです。

ロータリー・レンジエクステンダーの燃費

マツダREレンジエクステンダーが9リッターの燃料を使って走れる距離は、JC08モード走行で約180km。
9リッターで走れる距離が180kmと、ロータリーエンジンで発電している時のJC08モード燃費が「20km/L」となります。

BMW i3の方がパワーのあるエンジンですが、燃費も「24.7km/L」とi3の方が良いようです。

このあたり、ロータリーの方がパワーも低く、燃費も悪いとなり、「メリットは軽さとコンパクトさ」だけになります。
当然、BMWのエンジンレシプロエンジンも30psに必要な排気量にすれば軽量になる可能性があります。

ロータリーは壊れやすいメンテナンスの経費増加

構造が単純でメンテナンスがしやすい反面、走行距離が約5万~10万キロ程でアペックスシールがダメになる傾向があります。
これがダメになると圧縮が下がり、パワーがダウンします。
また、オイルの多量消費(燃焼)もあります。
オイル管理は一般に走行していてもレシプロよりも早い交換サイクルになります。
プラグも一般のレシプロより交換サイクルが早いです。
できれば1万~2万km走行で交換した方がエンジンの調子が良いかと思います。

ロータリーレンジエクステンダーの弱点・死角

https://toyokeizai.net/articles/-/214661?page=3

ロータリーは低回転時の効率が非常に悪く、燃費の悪化につながるが、発電用エンジンなら、車速に関係なく効率がよい回転数の範囲のみで使えばよいため、大きな弱点にはならない。

これは本当でしょうか。
メリットは「コンパクトさ」だけであり、絶対的な燃費ではレシプロエンジンの比ではないと思われます。
どうしてもマツダファンとして、なんとかしてロータリーを復活させたいとの思いが優先しているのではないでしょうか。
今後、数万数十万とレンジエクステンダーが搭載されるとすれば、従来のロータリーの欠点は完全に克服するぐらいの革新が必要でしょう。

アウディのロータリーの市販化は延期

BMW i3やマツダREエクステンダーの登場と同時期の2013年にアウディも改良型のロータリーレンジエクステンダーの試作車「A1 eトロン」を登場させています。

発電用の排気量254ccのシングルローターエンジンは、2010年初代の燃費は、燃料タンクは12Lで200キロとなり、燃費は16.6キロとなり、マツダ製に劣ります。
2013年モデルでは、排気量を354ccへと拡大し、最大出力は20psから34psへ引き上げられた。パワーアップに伴い、燃費はさらに悪化していることでしょう。

その後の改良試作品モデルが消え去ったことを考えると燃費効率的にロータリーエンジンの市販化はお蔵入りになった可能性が高いです。

ロータリーエンジンでもレンジエクステンダーは一定回転でしか使用しないから、燃費が良いというような提灯記事も見かけます。
しかし、実態としては、パワー不足を排気量アップで補うアウディのエンジンを見れば実用的とは程遠い性能と燃費です。

スカイアクティブRはトヨタのレンジエクステンダーか

2015東京モーターショーに出展された「RX-VISION」の新世代ロータリーエンジンの「SKYACTIV-R」です。
以降、世の中ではトヨタがEV出遅れの烙印を押され、燃費の悪いロータリーエンジンが日の目を見るようなチャンスは訪れないような状況です。

一方でマツダからは本格的なEVは出ず、トヨタとの協業でEVが出てくるようです。
SKYACTIV-Rもマツダのロータリーが「トヨタのレンジエクステンダー」として採用される可能性もあります。

ロータリーレンジエクステンダーのメリット

https://motor-fan.jp/tech/10000716

BMW i3のレンジエクステンダーが積む647ccの直列2気筒エンジンは、エンジンが始動すると音も振動も大きく、あたかも屋台の発電機エンジンのようで少々がっかりする。シリーズハイブリッドの日産ノートe-POWERも、フルに発電しなければ追いつかないような状況では、1.2L 3気筒エンジンは、けっして静か・スムーズとは言えない。
これがロータリーだったら、レンジエクステンダーEVで大きなアドバンテージがあるだろうと容易に想像できる。

ロータリーエンジンのメリットは静粛性だと言いたいようです。
軽量化やコンパクトなエンジンもメリットになりますが、劣悪な燃費や耐久性に劣るロータリーは、問題が山積みだと言えます。
レンジエクステンダーで負荷が小さくても市販エンジンとして淘汰されたものに復活の希望を抱くのはマツダファンだけかもしれません。

EV車におけるモーター音に対して、レシプロもロータリーもエンジン音は雑音でしかないのです。

トヨタがマツダロータリーを使う日は来るのか

トヨタとマツダの協業関係が明確化され、今後のトヨタ車製EVにマツダのロータリーエンジンをEVのエクステンダーに使う話も報道されています。
トヨタは2017年秋にEVの共同開発でMAZDA、DENSOと新会社「EV C.A. Spirit 」を設立しました。
「全固体電池」の実用化目処も怪しい状況で、EV航続距離を延ばすために試験段階の「マツダ・レンジエクステンダー」を手っ取り早く採用したというのが実態です。

マツダ提灯記事を得意とするジャーナリストは、早速、ロータリー復活であるかのような記事も見受けられます。
しかし、実態として燃費性能やメンテナンスの面でロータリーエンジンのデメリットが目立つ結果となる事は明白であり、アウディeトロンのように市販化を見送ることが妥当でしょう。

ダイハツの軽自動車用エンジン技術やヤマハのモータサイクルエンジンを流用する策の方が、より低コストで実用的かつ低燃費なエンジンを作れることでしょう。
間違ってもロータリーエンジンを搭載するような愚策に走らないことを望みます。

トヨタのEV出遅れがロータリー採用という暴走を生む

レンジエクステンダーのエンジン搭載としてのネックは、エンジンの大きさや振動面です。
BMW i3と同様にバイクのエンジンを流用し、ヤマハ製の2気筒エンジンをトヨタやダイハツが最適化することも可能でしょう。
わざわざロータリーというデメリットだらけで、マツダオタクだけが好むエンジンを採用する必要など無いのです。

EVとして完全に後れを取ったトヨタは、EVで先行する日産やBMW、テスラの状況を理解し、ロータリーを見送ったアウディの例を学習することも必要です。
EVのレンジエクステンダーとして周辺技術もこれからですが、ロータリー採用という安易な選択してしまうほど、トヨタのEV出遅れは深刻だと理解できます。


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