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BMWが水素燃料電池車に力を入れない7つの理由

BMWコラム
査定君
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BMWの水素燃料電市販化について市販化が一向に進まない要因として、トヨタやホンダ、ヒョンデの市販車販売の低迷に加えて、普及しない7つの理由を解説します。

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水素燃料電池が普及しない7つの理由

  1. なぜ、中国企業との共同開発なのでしょうか。
  2. トヨタがFCV商用車を現地で生産しないのは、なぜでしょうか?
  3. このような当たり前の発想に至らず、中国へ重要な技術を渡してしまう(結果的に筒抜け)ような日本企業の失態が止められないのでしょうか?
  4. 自動車メーカーはインフラに投資しないのか?
  5. 補助金は国に全てお任せなのか?
  6. もともと水素燃料電池は採算に合うものなのか?
  7. 水素インフラは増えるのか?

これらの7つ疑問点を事項で解説します。

なぜ、中国企業との共同開発なのか①

2014年、日本では水素燃料電池車が、次世代の内燃エンジンを役割を担う救世主と位置付けました。世界市場で次世代CO2削減の施策として、FCV車普及のための莫大な補助金を取り付けたのです。

2020年に中国に研究会社設立

中国における水素社会の実現に向け、6社連合で商用車用の燃料電池システムの研究開発会社を設立

商用車開発ノウハウや市場経験が豊かな中国を代表する完成車メーカーと、FCシステム開発の経験、及び市場での実績を有する億華通とトヨタがFCV普及に向けた“仲間”として手を組むことで、競争力があり、中国における各種規制にも適合した燃料電池システムを開発することが可能となると考えています。具体的には、6社協議で商品を企画し、中国での性能ニーズを満たす「FCスタック等のコンポーネント」、それを支える「FCシステム制御」、そして「車両搭載」までの一連の技術開発を一気通貫で行います。これにより、開発から製品化までのリードタイムを大幅短縮し、中国の商用車市場におけるFCV普及を各段にスピードアップさせることができると考えています。FCV普及に不可欠な動力性能・燃費・耐久性など商品力に優れ、低コストで競争力ある燃料電池システム及び主要コンポーネントの開発にチャレンジしていきます。

背景としては、世界市場でトヨタ製初代MIRAIが超低空飛行となり、バッテリーEVとの差が誰の目にも明らかになりつつありました。
世界最大の自動車市場である中国で水素燃料電池車のシェアをなんとか拡大したい意図が見え隠れします。秘蔵のFCV技術流出させてでも、FCVのインフラ整備やFCV市場のシェア拡大が急務であるとの焦りが招いた結果でしょう。

トヨタ、ホンダ、ヒョンデ製FCVは全く売れなかった

長年の研究開発が実り、FCスタック、水素タンクが市販化可能な水準となり、トヨタMIRAI、ホンダFCXクラリティ、ヒョンデNEXOが登場します。

しかし、実態としては200万超えの補助金が国から支給され、とても採算に見合うコスト削減が進んでいたのかは難しいところでしょう。
このようなバッテリーEVを遥かに上回る、超手厚いユーザー補助が実施されたにも関わらず、販売は低迷します。
販売低迷の理由は、高額な車両代金ではなく、FCV車の不便さ、インフラの未整備など、皆さんがFCV車を購入しない点が理由の一つです。

世界最大の中国市場を味方につけたい

CO2規制先進国の欧州でも米国でも全く売れないFCV車。このままだと市場から確実に消える運命です。
技術流失を招いてでも既存のFCV乗用車とは被らないFCV商用車から製造しようという、作戦も見え隠れします。これが中国メーカーとの共同開発の理由となります。

トヨタがFCV商用車を現地で生産しないのは、なぜでしょうか②

6社という複数メーカーが参画することにより、幅広く生産を目論んでいると言えます。
FCV技術を流出させてでも、中国市場でFCVシェアを広げたいという切羽詰まった状況が理由です。

したたかな中国メーカー

とは言うものの、中国の国策はバッテリーEVを世界市場でシェアを取ることが優先されることは明らかであり、その方が中国の利益に繋がります。
世界市場で見向きもされないFCV車を製造しても、中国および中国メーカーにメリットが全くないことを理解しており、「現時点では技術だけを吸収することが命題」でしょう。

工場まで立ち上げた後の撤退待ち

結局、商用車FCVが採算に乗らない事など、2020年時点で誰の目にも明らかです。
近年の海外メーカー撤退の構図をイメージすれば、FCV製造工場を立ち上げたものの、販売低迷、市場撤退、工場丸ごと中国国営企業が吸収という流れを誰もがイメージするところでしょう。

日本企業の失態が止められないのか③

超円高により、日本国内での工場生産から、安い労働力を求めて海外に出て行った20年、30年前とは状況が異なります。中国韓国に家電、液晶、IT関連技術が持ち逃げされた苦い経験も学習済です。

水素燃料電池に限っては、「風前の灯火」(ふうぜんのともしび)だからです。

中国・韓国にとって水素燃料電池は必要なのか

既に韓国メーカーは水素燃料電池車(ヒョンデNEXO)を市販化していますが、売れ行きは低迷しています。ヒョンデも日本車に遅れること数年で市販化に漕ぎ着けた事は、技術的に中国メーカーにとっても車の製造技術は難しくない可能性が高いです。

むしろ、水素インフラの存在意義、水素インフラ拡充の見込みに暗雲が立ち込めている可能性が高いです。

自動車メーカーはインフラに投資しないのか④

バッテリーEVを後手に回してでも、水素燃料電池車を普及させ、内燃エンジン雇用を今後も延命させることが命題だったはずです。しかし、水素燃料電池車の販売が優先され、税金垂れ流しの水素インフラ拡充が後手に回ってしまいました。

莫大な利益を水素インフラ拡充に使いたくない

水素インフラの拡充は、国の役割、化石燃料メーカーの役割なのでしょうか。
そこまで、国や関連業界が手厚い保護政策を実施する必要があるのでしょうか。
軽自動車やハイブリッド車が市場を席捲し、ガソリンの販売量が低迷し、ガソリンスタンドが軒並み潰れる状況下、利益の見込めない水素スタンドなど普及することは有り得ません。
水素インフラは、車を売りたい自動車メーカーが資本を投入してでも、自分たちのテリトリーを広げるべきなのですが、その気は全くないようです。

補助金は国に全てお任せなのか⑤

もともと、有ってないような水素販売価格は、莫大な補助金によって成り立っていました。
電気自動車の方が水素燃料電池よりもシェアが圧倒的に高まり、再生エネルギー発電との親和性も高く、水素燃料電池は、世界市場においても超低空飛行となってしまいました。

米国だけでなく日本でも水素スタンドが閉店し、ロードマップの進捗度合で行けば、BEVと比較にすらなりません。むしろ、国内メディアは水素燃料電池の未来を嘆くべきなのでが、そのような記事は全くないようです。

もともと水素燃料電池は採算に合うものなのか

日本製ハイブリッド車の燃費と同等レベルに合わせて設定された、水素価格こそ、需要と供給の関係を無視した補助金ありきの設定価格です。
このような補助金ありきの施策に国際競争力や輸出産業としての未来が切り開らかれることはありません。

昨今の円安により、水素製造、流通、維持コストがアップし、当初の水素設定価格は崩壊してしまいました。これでは燃費性能面で水素燃料電池車を進んで買うメリットが全く無くなりました。

たとえBMW製X5ハイドロジェンが発売されても買うユーザーはディーラー自腹購入のみとなる可能性が高いです。

水素インフラは増えるのか

再生エネルギーは、BEVに充電するのが一番効率的

太陽光や風力などで発電した再生エネルギーを用い、そのままBEVに充電するのが一番効率が良いでしょう。

製造工程は複雑で高コストですが、次点はe-fuel

代替燃料製造後は、ガソリンと同等レベルでの運搬、維持、保管、利用が可能なe-fuelの方が、自動車メーカーにとって、メリットが高いでしょう。
水素よりも複雑な製造工程でコストも明らかに高くなりますが、燃料の維持管理面で低コストとなります。(GSスタンド側、車両側ともに現状のインフラに改良を加えるだけで、ほぼ使える)

欧州市場で、2035年以降もe-fuelを限定的に認めたのは、水素よりも「燃料」として見た場合の可用性が高いからです。

欠点だらけの水素

水素を製造後、「高圧縮、冷蔵、運搬、充填、保管」などに、無理無駄な工程が沢山あります。

水素燃料電池車の高圧タンクへの充填時も高出力の電気が必要になり充填にあたり、高圧縮な水素に辿り着くという、水素燃料電池車を販売することが目的化してしまった本末転倒な状況です。

水素が生き残る余地は限りなく低い

  • 大規模な再生エネルギー発電システムが近隣にある
  • その余剰電力で水素を製造し、大規模水素タンクに貯蔵
  • 隣接したトラックステーションで充填

上記のようなシステムがセットになっていれば、水素燃料が延命できる余地はあります。
ただし、この場合も発電した余剰電気をそのままBEV貯めて使う方が効率が良く、ここでもBEVとの闘いに負ける可能性が高いです。

水素燃料電池が普及しない7つの理由:まとめ

「水素を製造するぐらいなら、水素製造に使う大量の電力をそのまま使う方が圧倒的に効率が良い」という、当たり前の話に行きつきます。

  • FCV車を製造して販売するための目的最優先
  • 内燃エンジン車の代りとなる、未来の救世主
  • 内燃エンジン車の製造設備や雇用が守られる
  • 化石燃料が売れなくなるから、水素製造~販売コストを国と石油メーカーに転嫁

BMW トヨタと燃料電池を共同開発 2028年から燃料電池車 量産へ

このような、自動車メーカーだけに都合の良いシナリオのため、FCV車が全く普及せず、今後の未来も暗いまま、という「まとめ」になります。
BMW側も2012年の水素関連の提携以降、現時点まで全く市販化されない状況です。
FCV車の現状を熟知しており、2028年は限定生産に留まります。
環境団体向けのポーズ&アピール目的の「100台お試し販売」と解釈するのが妥当でしょう。

 

 

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