エンジン始動時の異音「シャー」の原因と対処法

メンテナンス

朝エンジンをかけた瞬間に聞こえる「シャー」という音。
一瞬で消えることもあれば、数十秒続くこともあり、不安になる方は少なくありません。始動時の異音が比較的はっきり出る場合、出ない場合など事象と原因は様々です。エンジン始動時「シャー」という音の原因を体系的に整理し、放置して問題ないケースと、早急に点検が必要なケースをわかりやすく解説します。

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エンジン始動時に「シャー」と鳴る主な原因

1. 補機ベルト・テンショナーの摩擦音

最も多い原因が、補機ベルト(ファンベルト)の滑りや劣化です。

  • 冷間始動時だけ鳴る
  • 数秒〜30秒ほどで消える
  • 寒い日ほど出やすい

ゴム製のベルトは気温が低いと硬くなり、始動直後に一瞬滑ります。その際に「シャー」「キュル」という摩擦音が出ます。

走行距離が3万kmを超えている場合や、5年以上無交換なら予防交換を検討しても良いタイミングです。

2. 吸気音(正常な作動音)

最近のエンジンは始動直後にアイドル回転を高め、排ガス浄化を早めます。その際、スロットルが大きく開き、大量の空気が吸い込まれます。

  • 回転数が上がるタイミングで鳴る
  • 数秒で自然に収まる
  • 異臭や振動はない

この場合は正常な吸気音です。特に直噴エンジンやターボ車では音が目立ちやすい傾向があります。

3. 電動ウォーターポンプの作動音

近年は電動ウォーターポンプを採用する車が増えています。始動直後に冷却水循環のためモーターが作動し、「シャー」という音が聞こえることがあります。

  • ボンネット前方から一定音
  • 数十秒〜1分で止まる
  • 警告灯は点灯していない

これも基本的には正常作動です。ただし冷却水警告灯が点灯する場合は点検が必要です。

4. エアコンコンプレッサー作動音

A/CがONの状態で始動すると、コンプレッサーが接続される瞬間に音が出ることがあります。

エアコンをOFFにして始動してみて、音が消えるなら原因はここです。

ベアリング劣化が進むと音が大きくなります。

5. 排気漏れ(注意が必要)

「シャー」という空気音に加えて「ボボボ」という排気音が混ざる場合は排気漏れの可能性があります。

  • 回転数に比例して音が変化
  • 焦げ臭い匂いがする
  • 室内に排気臭が入る

エキゾーストマニホールドのガスケット抜けやフレキシブルパイプの亀裂が原因になることがあります。

これは放置しないほうが良い症状です。

6. ターボチャージャーの軸受摩耗

ターボ車の場合、軸受の摩耗で始動時に高音の「シャー」が出ることがあります。

  • アクセルで音が大きくなる
  • 白煙が出る
  • オイル消費が増える

ターボ故障は高額修理になりやすいため、違和感を感じたら早めに診断を受けたいところです。

症状別チェック早見表

症状 可能性が高い原因 緊急度
冷間時のみ鳴る ベルト滑り
A/C ON時のみ コンプレッサー
回転数に比例 排気漏れ・ターボ
数秒で消える 吸気音・正常作動
異臭がある 排気漏れ

自分でできる簡易チェック方法

  1. エアコンをOFFにして始動する
  2. ボンネットを開けて音の方向を確認する
  3. ベルトのひび割れを目視する
  4. 冷却水量をチェックする

回転部品には絶対に手を触れないでください。

走行距離や経年劣化による「シャー音」の発生傾向

エンジン始動時の「シャー」という音は、走行距離や年数の経過とともに発生率が高くなる傾向があります。新車では気にならなかった音が、5年目・7年目あたりから目立ち始めるケースは少なくありません。

とくにゴム・樹脂・ベアリングといった消耗部品は、距離と時間の両方で確実に劣化します。
ここでは距離別・年数別の目安を整理します。

走行距離別の傾向

走行距離 発生しやすい原因 特徴
〜3万km 正常作動音が中心 吸気音・電動ポンプ音などが主
3万〜6万km 補機ベルトの軽度劣化 冷間時のみ一瞬鳴ることがある
6万〜10万km テンショナー・プーリーベアリング摩耗 音がやや長く続く傾向
10万km超 排気系ガスケット・ターボ摩耗 回転数に比例しやすい

6万kmを超えると、単なるベルトだけでなく「回転部を支える部品」の消耗が始まります。
そのため、音質がやや金属的になることもあります。

経年劣化による影響

距離が少なくても、年数が経てば劣化は進みます。
特に屋外保管車はゴム硬化が早い傾向があります。

経過年数 劣化しやすい部位 補足
3〜5年 補機ベルト 表面に細かなヒビが入り始める
5〜8年 テンショナー内部スプリング 張力低下で滑りやすくなる
8年以上 ガスケット・樹脂部品 排気漏れリスク上昇

短距離走行が多い車両では、始動回数が多いためベルト負担が蓄積しやすいという側面もあります。

距離と年数の“掛け算”で考える

「走行距離が少ないから安心」というわけではありません。

  • 低走行 × 高年式 → ゴム硬化型トラブル
  • 高走行 × 低年式 → 回転部摩耗型トラブル
  • 高走行 × 高年式 → 総合的劣化

10年落ち・8万km前後は、補機類のリフレッシュを検討するひとつの節目です。

予防整備という考え方

「音が出てから直す」のではなく、
7〜8年または7万km前後でベルトとテンショナーをセット交換することで、
始動時異音の多くは未然に防げます。

突然のトラブルを避けたい方は、車検や定期点検時に相談してみると良いでしょう。

修理費用の目安

修理内容 費用目安
補機ベルト交換 1〜3万円
テンショナー交換 2〜5万円
コンプレッサー交換 5〜15万円
ターボ交換 15〜30万円
排気漏れ修理 2〜10万円

FAQ

Q1. 始動時だけなら放置しても大丈夫?

数秒で消え、音が強くならない場合は様子を見るケースもあります。ただし徐々に大きくなる場合は早めの点検が安心です。

Q2. 冬だけ鳴るのはなぜ?

気温低下でベルトが硬化し、滑りやすくなるためです。

Q3. ディーラーで「異常なし」と言われたが不安

再現性が低い症状は判断が難しいことがあります。動画を撮影して見せると診断が進みやすくなります。

Q4. 走行中に消えるなら問題ない?

消えても原因が進行している場合があります。特に排気系やターボは注意が必要です。

まとめ

エンジン始動時の「シャー」という音は、正常な作動音であることもあれば、部品劣化の前兆であることもあります。

判断のポイントは次の3つです。

  • 音が大きくなっていないか
  • 回転数に比例していないか
  • 異臭や警告灯が出ていないか

違和感を覚えたら、無理に自己判断せず点検を受けるほうが結果的に修理費を抑えられるケースも多いものです。

不安なまま乗り続けるより、早めの確認で安心してカーライフを楽しんでください。

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