ネット上、パンクしたランフラットタイヤは使用不可という誤った記事があります。空気圧警告が出ていないパンクは修理可能です。パンク修理可能の理由を解説します。
ランフラットはパンク修理可の概要
トレッド面のパンクなら修理可能
走行トレッド面で釘を拾ったようなパンクは修理可能です。
実際、軽度のパンクは、釘やボルドが刺さったまま走り、異音などで異物を拾っていることに気付きます。空気が抜けたような重度のパンクは、トレッド面の修理が難しく、大きな穴が開いたり損傷が大きいケースが多いのです。
これは、ノーマルだろうとランフラットだろうと、パンクした時点で修理不可、再使用不可能です。
釘をふんだら100%空気が抜けるワケではない
ノーマルのラジアルタイヤ、チューブレスタイヤは、写真のように釘やネジを踏んだだけでは、異物を抜かないかぎり空気が一気に抜けないような仕組みになっています。
「パンク=ぺしゃんこ」になるという解説のサイトは大きな誤りなのです。
空気が入った状態のパンクは、修理可能
空気圧警告が無く、単にクギなどが刺さった状態であれば、サイドウォールは通常使用となんら変わりありません。
完全に空気が抜けた状態はパンク修理不可
空気が抜けた状態では、ランフラットのサイドウォールで車体を支える状態であるため、タイヤ交換が必要となります。これは、ラジアルタイヤでも完全に車重でサイドウォールが潰れた状態となりますので、ラジアルタイヤも交換要となります。
ラジアルはOK、ランフラットはNGというような解説サイトは完全な誤りです。
ランフラットタイヤの内面修理は可能
パンク修理は外面修理に留まり、内面修理不可と解説をするサイトもありますが、正しくありません。内面修理をすると再使用不可という記載は、2010年以前のランフラットタイヤ脱着に不慣れなショップの言い分と判断されます。
ノーマル、ランフラットに関わらず、2010年以降のタイヤチェンジャーでは、ビート部分を損傷せずに脱着可能です。中古のランフラットタイヤがノーマルタイヤ同様、大量に出回っている実情をふまえれば、全く問題なく再使用可能なのです。
溝の残っているタイヤを新しいホイールに付け替えることなど、普通に行われている事なのです。よって、ノーマルタイヤ同様に外面・内面のパンク修理が可能なショップに修理を依頼することをお勧めします。
ランフラットタイヤのパンク修理料金
パンク修理としては、外面修理と内面修理があります。外面修理(簡易修理とも呼びます)は、タイヤの接地面のパンク穴をゴム充填剤で外側から注入して修理するものです。約1500~3000円が平均的な修理代です。外面修理の場合、修理の質が悪いと空気が漏れるケースがあります。内面修理は、タイヤを外し、タイヤ内面を中心として外側の状況を考慮しながら穴を塞ぐため完璧な修理が可能です。タイヤ脱着料金とタイヤ修理代を合わせて、ランフラットの場合は5000~12000円が平均的な修理代です。(修理料金は目安:ショップ・パンク補修内容により変化)
タイヤメーカーもパンク修理公認
ネット上、メーカーは推奨しないという誤った記事を見かけます。
しかし、パンク修理要件を満たしたパンクであれば、パンク修理は可能です。
ブリジストンはパンク修理公認
ランフラットテクノロジー採用タイヤはパンクしても、修理すれば再び使えるの?
(ブリジストン)
車両オーナーズマニュアル、取扱説明書に、 修理されたタイヤの使用を制限していないこと
(例:一定条件下の走行に限りパンク修理可能)が明記されている場合は修理して使用できる可能性があります。修理可否はカーディーラーまたはブリヂストン推奨のランフラットテクノロジー採用タイヤ取扱店で確認してください。
一方、修理不可と明記されている場合は 速やかに新品タイヤと交換してください。
ランフラットテクノロジー採用タイヤ取扱店
コクピット
タイヤ館
ミスタータイヤマン
パンクで修理不可のケースとは
重度のパンクは、ノーマルタイヤも再使用不可
空気が抜けてハンドルが取られるようなパンク時、ノーマルタイヤもパンクした車輪に車両重量が一気にかかり、サイド面をホイールが押し潰してしまいます。
その状態でグニュグニュ音をさせながら走れば、潰されたタイヤサイド断面は、使い物にならないケースが多いようです。上記のケースでは、タイヤ内壁はヒビ割れを起こして再使用不可の状態になっています。
ランフラットで再使用不可の判断とは
ランフラットタイヤ装着車は、パンクで気が付かないケースも多いため、「タイヤ空気圧警告灯」または「パンクマーク警告灯」が点灯します。パンクでなく空気が減ったケースもあり、全てが再使用不可とはなりません。ただし、全て空気が抜けて走行しまったケースは再使用不可となります。
空気圧警告灯点灯後、タイヤ内面をチェック
空気圧警告灯が点灯し、異物が原因でパンク修理が必要であれば、実際にホイールを外して、タイヤ内面をチェックすると「不自然なしわ」の有無が確認できます。不自然な「シワ」は空気が抜けてランフラットの断面を使用して走ったことにより出来るものです。このシワが無ければ再使用可能です。
重度のパンクは、ノーマルもランフラットも再使用不可
基本的には、タイヤのサイド損傷のチェックはプロの診断が必要となります。
国際基準では、空気圧が70KPA以下での走行が該当します。軽度のパンクや少しぐらい空気が抜けた状態は、ノーマルもランフラットも再使用可能です。
重度のパンクで完全に空気が抜けた状態では、ランフラットは80キロの最高速度で80キロの距離が走れます。これは、メリットであり、再使用不可となる前提ですからデメリットに挙げることはナンセンスなのです。
ランフラット関連の噂・誤情報の実態
なぜ、パンク修理不可という情報がネットを流れたのでしょうか?。
タイヤ代が高く、ノーマルタイヤで済まそうとする方
その理由は、ランフラットユーザーが高額なタイヤ代を避けるために安価なノーマルタイヤを履くケースが多かったようです。
- 乗り心地が良くなる(当たり前)
- タイヤ代が安い(当たり前)
- パンク修理剤があれば問題ない(万能でない。過去やったことも無い)
上記のようにメリットを強調じて自己完結する方が多かったようです。ノーマルタイヤにしたことで大きく乗り心地は改善するものの、直進性が悪化するケースがほとんどです。
直進性が悪化する理由は、タイヤ側面が硬いランフラットは優れた直進性を示す特性であり、その特性に合わせたハンドリングとしています。ノーマルタイヤは、柔らかい特性からタイヤ自体の直進性が劣り、ハンドルの遊びを大きくしているのです。異なるタイヤ特性にも関わらず、ランフラット車にノーマルタイヤを履くことには無理があり危険なのです。
ノーマルに変えたユーザーの独自解釈とは
ノーマルタイヤなので当たり前な反面、独自解釈は誤りが多いようです。
- 乗り心地が良くなった:〇
- タイヤ代が安い:〇
- タイヤの銘柄が選び放題:〇
- パンクしない自信がある:△
- パンク修理材を積んでおけば良い:×
- パンクしたらランフラットは4本変えないとダメだとか:×
- ランフラットはパンク修理できないんでしょ:×
- 直進性も変わらない。ふらつかない:×
BMWタイヤ交換時の注意点、タイヤ寿命やタイヤ交換時期を解説します。
パンク修理時のリスクは考慮する必要はない。
ランフラットタイヤは、側面が通常タイヤとは異なり硬く特殊な構造であるためにタイヤやホイールを傷つけてしまうケースがあるという声があります。
実際、2010年以前は、タイヤチェンジャーの環境が未整備で不慣れなケースもありました。
しかし、最新のタイヤチェンジャーはそのリスクを軽減させる機能を備えています。
複数人が作業するなど、出始めの頃の情報が最新の情報であるかのように語られているケースもあります。
ランフラットタイヤは取り外しができないのか?
ランフラット登場から間もない時期のガセネタが、今も独り歩きしています。
現在、ホイール交換に伴う、タイヤの付け替えなども普通に行なわれています。中古ランフラットタイヤも普通に流通しています。一回組付けたら取り外しできない製品ではありません。ビート部の強度や損傷の可能性としては、ノーマルとランフラットタイヤで決定的な違いはありません。ビート部分の損傷は、操作者のミスであり、ランフラットが起因ではありません。最新のタイヤオートチェンジャーも進化しており、操作をミスしない限り、安全にタイヤ脱着が可能です。
ランフラットを取り巻く環境は大きく変わった
BMW、メルセデス、レクサスとランフラットタイヤ標準装着の車が増えて、もはや2010年以前の状況と異なり、2015年以降は取り扱っていないという大型店舗は一切無い状況です。
タイヤメーカー系プロショップでは、ディーラーでパンク修理を断られたケースでも普通に修理しているケースが多数あります。
メーカー自らの保証を付けて修理を行っているわけですから、脱着時のリスクやパンク修理できないとする説は、意味が無いことが実績として理解できるでしょう。
パンク修理にもタイヤの外側からのみ修理するケースと内側からパッチを当てて修理するケースあります。
後者の方が確実ですが、最近の技術は外側からの修理でも問題なく行えるようになっています。
ランフラットタイヤのパンク修理・まとめ
ブリジストンのメーカーサイトでもQAとしてパンク修理は可能と明言しいます。
ネット上で書かれているパンク修理不可という説はランフラットからノーマルタイヤに履き替えた方の妄想に過ぎません。
高級車の設計思想として、ランフラットタイヤを標準装備していることをオーナーのメリットとして、当たり前のように享受することがオーナーの義務なのです。
都合の良い独自解釈は止めたいものです。ノーマルタイヤと同様にトレッド面の修理が可能です。
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