「BMW」は「メルセデス」と並び、高級外車ブランドに例えられます。この中で、アウディは例外と言ってよいでしょう。車のブランド力とは、提示された同一セグメントでのプライスタグの高低を指し示すものです。企業のブランド価値や評価とイコールではありません。具体的にライバルメーカーのブランド力を比較し、解説します。
BMWとポルシェのブランド力を比較
ポルシェボクスターとBMW Z4の比較
ポルシェのボクスターとBMW Z4では、ライバルで例えられる事が多いですが、車の目指す方向性が異なり、スタイリング以外で選ぶ、指名買いやコダワリの多いユーザー層です。
Z4とボクスターをライバルとして同列に語るWeb雑誌はナンセンスという事でしょうか。
- ポルシェは、ミッドシップスポーツ
- BMW Z4は、FRスポーツ
価格は、ポルシェボクスターの方が、若干高いでしょう。
ポルシェブランドとして、代表的な911を中心に考えれば、車両価格はBMWよりも高くブランド力はポルシェが上ということです。
ボクスターがポルシェの敷居を下げ、SUVやセダンのラインナップ拡充は、ポルシェの販売台数を大幅に延ばしましたが、ややプアマンズポルシェとしてのブランド力の低下に繋がったといえます。
ただ、911のブランドイメージは絶対ですので、今後の電動化でブランドイメージを棄損しない限り、ブランド力は維持できるでしょう。
BMWとメルセデスのブランド力を比較
BMWと同じセダン、SUV、クーペモデルのラインナップを備え、2大ライバルに例えられます。
メルセデスの販売価格は、BMWと同一スペック同志で比較してもやや高く、ブランド力はメルセデスが、やや上という位置付けです。
高級車グループのメルセデスとBMWですが、その中でも順位付けがあるという事です。
BMWとアウディのブランド力を比較
30年前のアウディはフォルクスワーゲンの兄貴分的な位置付けでした。
アウディのブランド戦略は巧妙で、ブランドイメージを高め、販売価格をBMWやメルセデス並みに高めてきた戦略です。
圧倒的な広告イメージアップ戦略が成功し、一定のブランド力アップには貢献しています。
このCM戦略が功を奏して、2010年頃は、メルセデスやBMWに飽きた層の一時的な取り込みに成功しますが、アウディの日本における人気は下降線です。
VWグループの排ガス不正問題も世界的な批判を浴び、アウディのブランドイメージを下げました。
よって、北米や日本市場では、メルセデスやBMWに対して、同等レベルとは言い難い状況です。
VWからのステップアップモデルとしての位置付けに留まります。
新興国や中国では、巧みな戦略で一定のイメージは確立しているようですが、ベンツ、BMW、アウディの序列に変化はありません。
超高級ブランドとの比較
一部の高価格モデルで下記の車種と競合する場合もありますが、基本的にBMWブランドが格下です。
- ブガッティ
- ロールスロイス、ベントレー、マイバッハ
- ランボルギーニ、フェラーリ
- アストンマーティン、マセラティ
- マクラーレン
- ポルシェ
トップグループ
高級車の2大グループとして世界的にも認知されている2社です。
メルセデスがBMWのスポーツイメージを真似、対象年齢層の若返りを図っているように、BMWがメルセデスの高級感を取り込むなど、両車の足りない部分を双方で補間する傾向も見られます。
- メルセデス
- BMW
当然、アウディやボルボなどは、格下のイメージです。ボルボのように車両価格と車体のクオリティが向上にブランドとしての実力を付けてきていますが、日本におけるアウディは価格にミスマッチであり、ブランドイメージは下降気味です。
セカンドグループとの比較
一定のブランド力を備えていますが、世界的な認知度がメルセデスやBMW並みに確立しているかと言われれば、そのレベルには達していません。
高価格モデルもあり、同一セグメントでもBMWのライバル相当になる車もあります。
特にジャガーは、BMWより格上のポジションであったのが過去の歴史であり、直近30年の間における廉価モデルの投入がブランドイメージの低下に繋がりました。
ボルボも中国資本下になり、昨今のモデルイヤー獲得までは、ブランドイメージの向上に時間がかかりました。
ジャガー、ボルボともに過去のブランド力や現在の実力をふまえば、アウディ以上のブランド力を備えています。
- ジャガー、レクサス、アウディ、テスラ
- ボルボ、ランドローバー
- キャデラック、リンカーン
サードグループとの比較
エントリーモデル、大衆向けという位置付けですが、国産車より若干上乗せされたブランドプライスです。
- アルファロメオ、ミニ、ランチャ
- プジョー、フォルクスワーゲン
- ルノー、シトロエン、フィアット
BMWディーラーいじめの影響
2015年以降のBMWディーラーへの新古車販売強要でブランドイメージをやや棄損しました。
これは、経営層のメルセデスやアウディ急進への焦りとも言える愚策の結果です。
結果、公正取引委員会での指導による改善に向かっています。日本において、高級車ブランドイメージは確立しており、無理な安売りによる台数稼ぎ必要はないでしょう。
まとめ
バブル崩壊後、日本における高級車イメージは確立し、同一セグメントにおける販売価格がブランド力を指し示す、わかりやすい指標になります。
アウディのようにブランド力に見合わない高価格な設定で、販売低下に繋がったり、ディーラーいじめなどのよる販売強化は、ブランド力の低下に繋がります。
すでに確立したBMWブランド力は、必要にして十分確立しています。この力をベースにボルボのような着実な戦略を積み重ねることが必要ではないでしょうか。
円安による価格高騰
1ドル140円を超えたあたりから円安傾向となり、国内の輸入車価格も高騰してきました。
円高時代に比べて、価格も数割アップしており、ブランド力と価格設定の戦略が問われる環境となってきたようです。
国内はEV不人気
トヨタがハイブリッド車を中心に販売してきた結果、国内ではEV車のインフラやユーザーの意識改革も海外に比べて、進んでいません。今後の電動化の推進により、ブランドの勢力図にも変化が訪れるとの話もありますが、日本では従来のブランド勢力図に変化は無さそうです。
コメント