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B38エンジンはMHEV追加で理想的な3気筒へ

BMW関連情報

BMWB38エンジンはコンパクト車に理想的な3気筒エンジンなのか?N13との比較や技術的特徴。48Vマイルドハイブリッド追加でパフォーマンス評価を通じてその魅力を徹底分析します。

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エントリーレベルから上級モデルに移行した直3エンジン

BMWのB38エンジンは、同社が誇るモジュラー設計の最小ユニットとして2013年に登場した。排気量1.5リッター前後の直列3気筒ターボエンジンであり、MINIやBMW 1シリーズ、さらにはi8やX1など、幅広い車種に採用されている。従来の4気筒や6気筒とは異なるレイアウトを採用しながらも、「BMWらしいドライビングフィール」を損なわないことが最大の特徴だ。

直列3気筒という構成は、バランス面で不利とされがちである。しかしB38では、精密なバランスシャフト設計とエンジンマウントの最適化により、振動を最小限に抑えつつ軽量化を実現している。結果として、エントリーモデルでも上級車と同等の滑らかさを提供できるエンジンとなった。

さらにB38は、BMWが開発した「Bシリーズ」モジュラーエンジン群の一員である。B48(4気筒)やB58(6気筒)と共通の設計思想を持ち、1気筒あたり約500ccという基本モジュールを共有する。この設計により、製造コストの削減だけでなく、整備性や部品共有の効率化を達成している。

B38エンジンの特徴

B38は1.2L〜1.5Lクラスの排気量を持ち、ツインスクロールターボと直噴システムを組み合わせることで、小排気量ながら驚異的なパフォーマンスを発揮する。最高出力は109〜231ps、最大トルクは180〜320Nmと、モデルによってチューニングが異なる。例えば、BMW i8ではプラグインハイブリッドとして231psを発揮し、電動モーターとの協調でスポーツカー並みの走行性能を実現している。

主な技術的特徴

  • 1気筒あたり約500ccのモジュラー設計(Bシリーズ共通)
  • 高効率なツインスクロールターボチャージャー
  • Valvetronic(可変バルブリフト)+Double VANOS(可変カムタイミング)
  • 直噴インジェクションシステム(最大350bar)
  • ウォーター・トゥ・エア・インタークーラー採用
  • 低摩擦設計・軽量アルミブロック構造

B38の特徴は、単に「燃費が良い小型エンジン」ではない点にある。ターボチャージャーと可変機構の緻密な制御によって、低回転域から太いトルクを発生させ、アクセル操作に対して自然でリニアなレスポンスを示す。街中の走行から高速巡航まで、どの領域でもBMWらしい一体感のある加速フィールが得られるのが特徴だ。

項目 B38 N13
排気量 1499cc(主流) 1598cc
気筒数 3気筒 4気筒
過給方式 ツインスクロールターボ ツインスクロールターボ
最大出力 109〜231ps 136〜170ps
最大トルク 180〜320Nm 220〜250Nm
燃費性能 優秀(最大20km/L超) 標準的
振動対策 高精度バランスシャフト 標準

軽量モデルではハイパワー、重量級モデルも十分なパワー

B38は、軽量なボディを持つモデルであれば非常に俊敏な加速を見せる。特にMINI Cooper Sや118iなどでは、コンパクトカーとは思えないパフォーマンスを発揮する一方で、X1や2シリーズアクティブツアラーのような重量級モデルにも搭載されており、十分な余裕を持った走りを実現している。

最大トルクの発生回転数が低く設定されているため、日常的な街乗りでもストレスが少ない。例えば、B38A15M0(1.5Lターボ)では1500rpm付近から最大トルクを発揮するため、低速からの加速が滑らかで扱いやすい。ターボラグがほとんど感じられず、自然吸気エンジンのようなリニアな加速が特徴である。

また、B38は排気音にもこだわりが見られる。3気筒特有の軽快なサウンドをBMW流に洗練させ、スポーティさと高級感を両立している。スポーツモードでは電子制御バルブが開き、より力強い排気音を演出するなど、感覚面でも“走る歓び”を強く意識した仕上がりとなっている。

BMW i8にも搭載されたコンパクトエンジン

重量級モデルでも、電動化技術と組み合わせることで余裕の走りを実現している点も見逃せない。特にBMW i8では、B38と電動モーターのハイブリッド構成により、システム合計出力362psを発揮し、0-100km/h加速4.4秒という驚異的なスペックを実現した。これは3気筒エンジンの可能性を世界に示した象徴的な事例といえる。

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B38とN13エンジンの違い、メリット・デメリット

B38の前世代にあたるN13エンジンは、1.6L直4ターボとして2011年に登場し、F20型116iやMINI Cooper Sなどに搭載された。N13は高回転域での伸びと軽快さが特徴だったが、一方で熱管理や振動、燃費面で課題を抱えていた。B38では、これらを徹底的に見直し、効率と静粛性を大幅に改善している。

進化のポイント

  • 気筒数を3に減らすことで軽量化と効率向上を実現
  • 燃焼室の再設計により、燃焼効率を改善
  • バランスシャフト構造を最適化し、3気筒特有の振動を低減
  • 排気マニホールド統合による排熱管理の向上
  • 冷却システムの改良で温度制御を安定化
  • 48Vマイルドハイブリッドシステムの追加で、発進時の騒音抑止とスムーズな加速に貢献
比較項目 N13 B38
登場年 2011年 2013年
気筒数 4気筒 3気筒
ターボ ツインスクロール ツインスクロール+電子制御
燃焼効率 良好 さらに高効率
48V MHEV 無し 燃費向上、静粛性向上
静粛性 平均的 大幅改善
軽量化 標準 約10〜15%軽量
耐久性 良好 改良によりさらに安定
整備性 比較的良好 複雑だが高信頼性

B38の唯一の弱点を挙げるとすれば、3気筒ならではのエンジンサウンドや振動が一部ユーザーにとって好みが分かれる点でした。この点は、近年のモデルで48Vマイルドハイブリッドが追加され、低速時の振動や騒音を抑止する効果をもたらしています。
燃費性能も向上し、理想的なエンジンに進化しています。
しかし、BMWはこれを逆に個性として生かし、スポーティで軽快な印象を与える方向へ調律している。トータルで見れば、N13を完全に上回るバランスを実現しているといえる。

B38エンジンのまとめ

B38は、BMWのモジュラーエンジン戦略を象徴する存在であり、コンパクトながらも極めて完成度の高いユニットである。燃費・静粛性・出力の全てを高水準で両立し、3気筒の弱点を感じさせないスムーズな動作を実現しました。
さらに、B38はハイブリッド技術との親和性が高く、i8をはじめとする電動化モデルにも応用されている点が他のエンジンにはない特徴です。

このように、B38は単なる小型エンジンではなく、BMWが目指す「駆けぬける歓び」を最小構成で表現したエンジンといえる。環境性能と走行性能を両立させたそのバランスは、他メーカーの同クラスエンジンを凌駕しています。

将来的には電動化が進む中で、B38のような高効率ガソリンエンジンは徐々に姿を消していくかもしれない。しかし、その完成度と走行フィールは、多くのドライバーの記憶に残るだろう。
結論として、B38は「BMW史上最高の3気筒エンジン」であり、内燃機関の進化の最終形のひとつといっても過言ではないとする「まとめ」になります。

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