
日本におけるBMWでは、直列4気筒のB48エンジンが主力ですが、やはりB58の直列6気筒エンジンが最高でしょうか。内燃エンジンが将来的に消えそうな昨今、現時点で新車購入できる史上最高のエンジンとは何か?解説します。
エントリーレベルから上級モデルに移行した直6エンジン
BMW B58エンジンは、今となっては非常に少なくなった直列6気筒エンジンとなりました。NAエンジンがメインストリームの時代(N52/N54)は、6気筒エンジンがメインストリームを占めていましたが、現在では1~6シリーズの上級モデルに搭載されるエンジンとなりました。
ただし、高級SUVとなるBMW X5クラスではエントリーレベルのエンジンです。
BMW 直列6気筒エンジン(シルキーシックス)型式 スペック
B58エンジンの特徴
M240iからX5 xDrive40i、BMW 745eプラグインハイブリッドまで、クーペからラージクラスのセダンまでをカバーする3.0リッターターボチャージャー付きインラインシックスエンジンです。
エンジンは、BMWのB58型直列6気筒DOHCターボスペック
ご存知の通り、新型スープラは、BMW Z4と多くを共有する兄弟車(双子車?)である。
- B58型
- 排気量:2998cc
- ボア×ストローク:82.0mm×94.6mm
- 圧縮比:11.0
- 最高出力:340ps(250kW)/5000rpm
- 最大トルク:500Nm/1600-4500rpm
- 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)最大噴射圧350bar
- 過給:ツインスクロール×1
軽量モデルではハイパワー、重量級モデルも十分なパワー
最近の車は、国産・外車を問わず、幅広いグレードに搭載されています。B58の幅広い能力は驚異的です。M240i、M340i、X3 M40i、Z4 M40iなどの純正性能車に力を与えます。また、BMW 540i、X5 xDrive40iのような標準的な高級車にも搭載され、非常に重いX7 xDrive40iにとっても十分です。また、BMW X5 xDrive45eや745eなどのプラグインハイブリッドで使用するのに十分な滑らかで効率的です。
確かに、市場には複数の仕事を持つエンジンがたくさんありますが、B58エンジンのように、様々な車種に搭載される優れた6気筒エンジンはありません。すべての車種とモデルで、B58エンジンは完璧に役割を果たしています。それは、専用車種に造られたエンジンのように、唯一の目的のために造られたかのようです。
圧倒的なトルク
ダウンサイジングターボは、低速からもトルクが湧き出ており、従来のようなターボラグはありません。任意のギアでペダルを踏めば、どの回転数でもリアルにパワーを感じ取れる事でしょう。B58エンジンで車を運転することは、他のメーカーのV6エンジンをドライブしている時と異なるB58のパワーフィーリングを感じ取れると思います。
N58とN55エンジンの違い、メリット・デメリット
| 項目 | B58 | N55 | 優位 / コメント |
|---|---|---|---|
| 製造期間(代表) | 2015年頃〜(B58導入)→ 現行まで | 2009年〜2021年 (徐々にB58へ移行) |
B58は後継世代で最新設計。 |
| 排気量 / 形式 | 約2,998 cc 直列6気筒 ターボ |
約2,979 cc 直列6気筒 ターボ(ツインスクロール) |
ほぼ同排気量。性能・内部設計が差となる。 |
| 過給器 | ツインスクロール 単体ターボ(改良版) |
ボルグワーナー製 ツインスクロール単体ターボ(初採用) |
B58はターボ周りや冷却の改良で応答性/持続力が向上。 |
| 圧縮比 | 高め(例:11.0:1 前後のバリエーションあり) | 約10.2:1(代表値) | 高圧縮×改良燃焼で熱効率・出力向上(B58有利)。 |
| ブロック設計 | クローズドデッキ(強化された構造) | アルミ開放デッキ傾向(従来設計) | B58は高ブーストやチューニング耐久性に優れる。 |
| 吸排気・排気マニホールド | 排気マニホールドを統合した設計 (触媒の早期暖機等の利点) |
従来の分割式が多い | 排気統合で熱制御・排ガス対策に有利(B58有利)。 |
| 冷却 / 熱管理 | 改良された冷却系(インテグレーテッドチャージクーラー 等) | 従来のチャージクーラー/冷却系 | B58は高負荷時の耐久性と熱効率が向上。 |
| 最高出力・トルク(代表) | バリエーション多数:おおむね 300〜400+ hp、トルクも高め(モデルにより500Nm程度のものも) | バリエーション多数:おおむね 300hp 前後〜(高出力仕様はそれ以上) トルクは400〜465Nmなど | 世代差で同排気量でもB58はより高出力・高トルクを実現しやすい。 |
| ドライバビリティ(フィーリング) | 滑らかでトルクフル、低回転からの力感が太い | 元気でレスポンシブ、N54の系譜的な味付け(高回転の伸びも良い) | 好みの差あり。街乗りはB58の扱いやすさが評価されることが多い。 |
| 信頼性・故障傾向 | 設計改良により総じて信頼性向上(油圧系・HPFP等の問題は少ない傾向) | 初期は好評価だが、HPFP(高圧燃料ポンプ)やイグニッションコイル、バルブトロニック周りなどの個別トラブル報告あり | B58は世代的な改善で維持費・トラブル頻度が低くなっている傾向。 |
| チューニング(過給・耐久性) | クローズドデッキや強化設計で高出力化に向く。素性が良くチューニング耐性高め | 改造で大幅パワーアップは可能(特にN54系からの流れでノウハウ多数)だが、耐久性に注意 | B58はより高い安全マージンでチューニングしやすい。 |
| 燃費(実用) | 世代進化で燃費・効率改善(エンジン制御、熱効率の向上) | 良好だが、新世代に比べると若干劣る場合あり | B58がやや有利(車種・セッティング次第)。 |
| メリット | ・高トルク/高出力が得やすい ・冷却・耐久性が向上 ・チューニング耐性が高い ・静粛性・滑らかさが良い |
・レスポンス/高回転の爽快感 ・実績のあるチューニングノウハウが豊富 ・車両重量が若干軽い系統の車種もある |
用途により選択(純粋チューニング志向か、街乗り快適性重視かで変わる)。 |
| デメリット | ・構造が複雑で整備費用が高くなる場合あり(特殊部品) ・最新のため修理ノウハウが一部限定されることも |
・一部のモデルでHPFP・点火コイル等のトラブル報告あり ・高出力化で耐久性問題が出るケースも(改造時) |
維持費・改造方針で考慮が必要。 |
B58エンジンのまとめ
B58のパワーは300馬力を超え、暴力的で荒いと感じる方もいるでしょうか。しかし、B58はそうではありません。まるでモーターオイルを重いクリームに置き換えたかのようにスムーズに吹け上がります。ZF製8速オートマチックトランスミッションでも完璧に動作します。
BMWのエンジンとトランスミッションによる滑らかな走りは、ポルシェとは異なった駆けぬける喜びを味わえるものであり、B58エンジンの特長でもあります。
今後のCO2規制強化策により、純内燃エンジンが消える可能性もあります。BMWの伝統とも言える直列6気筒エンジンが欲しいと思った時が買いです。


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