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BMW水素燃料電池車の価格と発売時期とは

BMWコラム
FUN君
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BMWでは水素燃料電池車として、X5をベースとした試験車両が登場しています。興味のある方も居ると思いますが、今後の市販化予定を含むBMW社の動向を解説します。

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2020年代後半に燃料電池車を市場投入する予定

BMW社の公式リリースの時期は、2020年代後半という、バッテリーEVのロードマップに比べて、非常に曖昧な時期設定となっています。

トヨタとの提携による水素燃料電池ユニットの供与

  • トヨタMIRAI:初代(JPD10型、2014年 – 2020年)
  • トヨタMIRAI:2代目(JPD20型、2020年 – )
  • トヨタクラウン16代目 FCEV:初代(S30型、2023年 – )

トヨタの市販車販売実績は十分

初代MIRAIの価格は、723万6,000円であり、国産車として見れば非常に高価であるものの、補助金等の施策により、アーリーアダプター(※)としての価格になっている。

※:アーリーアダプターとは、イノベーター理論における5つのグループの1つ。その中でも市場全体の13.5%を構成しており、流行に敏感で、自ら情報収集を行い判断する層

BMW iX5ハイドロジェンの価格とは

  • BMW X5 xDrive45e:1028万円 (プラグインハイブリッド車)
  • トヨタMIRAI:861万円 (水素燃料電池車)
  • トヨタクラウンFCEV:830万円 (水素燃料電池車)
  • トヨタクラウンスポーツPHEV:765万円 (プラグインハイブリッド車)
  • FCスタック(水素発電ユニット):1.1万ドル(165万円、150円換算)
  • 水素タンク:1個=200万、2個搭載=400万

車種が異なりますが、兄弟車のクラウンスポーツPHEVとクラウンFCEVの関係性から、PHEVの100万アップと仮定してみます。X5 xDrive45eの100万アップを予想します。

iX5ハイドロジェン予想価格

iX5ハイドロジェン価格:1128万

2005年にBMWは水素自動車を登場したが撤退

1980年代から始まったBMWの水素への取り組みからスタート

2005年:7シリーズのE65をベースとし、ハイドロジェン7を登場

  • V12エンジンをベースとし、水素やガソリンを燃料として直接燃焼する仕組み。
  • 水素タンクの容量不足(トランクルームをほぼ占領)
  • 航続距離:水素モードで200 km強、ガソリンモードでさらに500 km
  • BMW Hydrogen 7(BMW 760LiベースのE68型)
  • V12エンジン:191 kW(260 ps)
  • 0-100 km/h加速性能:9.5秒
  • 最高速度:230 km/hリミッター

2007年の市販化予定としたものの、当時の電動化戦略の方が、現実味を帯びてきたため、水素エンジン車の市販化は未実施となりました。

実際、2013年にBMW i3の純バッテリーEV車が市販化しています。

BMW X5の水素燃料電池車は、とっくに実用段階

2013年、トヨタとの提携から10年以上が経過

トヨタとBMWの提携をBMW視点で解説する
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以降、試作車は十分開発済の模様

  • 2015年:BMW 5シリーズ グランツーリスモ(F07型)水素燃料電池車の試作車登場
  • 2016年:燃料電池開発におけるトヨタとのパートナーシップを正式に締結
  • 2019年:BMW X5シリーズ(G05型)水素燃料電池車がショーデビュー

BMW iX5 Hydrogen:主要諸元

X5のG05型をベースとした、トヨタ製の水素燃料電池車です。
すでに、メディア向けの試乗公開も実施済です。写真は2023モビリティショーのiX5です。
すでにG05型は後期型LCIが登場済ですが、iX5はLCI前ベースとなっています。
トヨタMIRAIベースの燃料電池スタックで発電した電力を用いて、X5PHEV(G05)ベースのモーターを駆動するとなれば、十分な完成度と予想されます。

  • 最高出力:295kw(401ps)
  • 水素燃料タンク:3kg × 2本 = 6kg
  • 0-100 km/h加速性能:6秒未満
  • 最高速度:180km/h以上
  • 一充填走行距離(WLTPモード):504km
  • 水素燃料消費率(WLTPモード):119 km/kg

BMW燃料電池車の市販化予定は、かなり先

BMW AGのオリバー・ツィプセ会長談(2023)

  • 水素はエンジンよりも燃料電池の方が高効率
  • EV生産台数が飛躍的に増加し、コスト差が明確になった
  • EVハードウエアとソフトウエアをFCEVへ流用可

「次に効率です。同じ量の水素を使った場合、水素エンジンよりも燃料電池のほうがずっと効率がよくて、航続距離も長くなります。iX5は燃料電池の補助的役割として駆動用バッテリーも積んでいるので、電費はさらに稼げます。我々はだからといってもう2度と水素エンジンの開発はやらない、と言っているわけではありません。ただいまは、総合的観点から燃料電池のほうがいいだろうというだけのことです」

BMW燃料電池車「iX5」に乗って見えた水素の未来

引用:東洋経済誌

「実車が販売にこぎつけるまで、あと6~7年はかかりそうです」。水素技術のゼネラルプロダクトマネージャーを務めるユルゲン・グルドナー氏は語る。

トヨタは既に市販化を実施済であり、初期モデル登場から10年以上が経過しています。
韓国ヒョンデ製もFCEVも登場しており、市販化実績からすれば、水素燃料電池車としての販売実績は十分であるものの、販売時期を伸ばしているように見えます。

水素スタンドの取り扱いの難しさ、高コスト

トヨタMIRAI登場後も水素スタンド設置に5億のコストが掛かると言われています。

トヨタ製MIRAIを市販する日本において、水素スタンド数は、約160拠点に留まっており、ガソリンスタンド並みのEV充電器数に達した、バッテリー充電器のインフラ状況に比べると、圧倒的に少ない数です。日本における水素インフラのロードマップ計画においても圧倒的に出遅れた状況となりました。近年では、水素燃料の値上げも実施されており、補助金漬けの燃料も厳しい状況に置かれているようです。

ドイツやEUは水素に積極的のように見えるが

CO2規制を強力に推進する欧州では、水素燃料電池車(FCEV)の普及施策も掲げており、欧州もドイツも施策として、積極的とも思えます。
しかし、実態としては、BMWを含む欧州の乗用車メーカーは、FCEVに対して積極的ではなく、BEV一択のようです。これは、テスラ社と同じ考え方に基づいているように見えます。
欧州におけるFCEVはトヨタとヒョンデに留まっています。

BMWの水素燃料電池車は売る気が無いのか:まとめ

BMWの世界戦略としては、内燃車(ICE)から、PHEVやBEVへの移行という生産体制が整いつつあります。過去のBMW水素エンジン車の撤退経験をふまえて、水素関連の乗用車ソリューションには慎重になっていると判断されます。
水素燃料電池車の有用性は認めるものの、提携先のトヨタMIRAIの販売動向は思わしくない状況であり、BMWもこの分野の市販化には慎重になっていると判断されます。
実際の試験車両の完成度は十分なレベルに達しており、技術的なアピール、環境向けのアピールは十分と言えます。今後の予定として「2020年後半、2023年時点で6~7年先」との発言から、市販化には積極的でないBMWのスタンスが見て取れるでしょう。

国内のメディアは、BMWもFCEVに積極的であるかのような報道が多いです。それは技術的・広報的な積極投資に限られ、BMW乗用車のビジネス的には非積極的であるという「まとめ」とします。

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