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水素販売価格とは?大幅値上げ2200円と1650円でFCEV終了なのか

自動車全般
FUN君
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最新水素販売価格がエネオス2200円とイワタニ1650円です。
ネットでは、水素燃料電池車は完全に終了との声も聞かれます。その理由を解説します。

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水素の販売価格とは:2024年

水素ステーション供給メーカー販売価格一覧

  • エネオス:2200円/Kg
  • 東京ガス:1760円/kg
  • イワタニ:1650円/kg (2024/6~)
  • 日本エア・リキード:1650円/kg

北米の水素販売価格(参考)

トヨタ『クラウンセダン』は違う:レスポンスより引用

アメリカでは圧縮水素の充填価格が日本円で1kg(走行100km強ぶん)あたり約5000円にも達し、水素ステーションが続々閉鎖に追い込まれている。

上記は、国家戦略的な価格設定ではなく、リアルな価格を反映した結果です。
補助金ありきは、EVでなく水素なのです。

水素価格と燃費の関係

  • 1000円/kg:21.6km/L相当(2014年時:JX日鉱日石エネルギー)
  • 1210円/kg:18.0km/L相当(2022年時)
  • 1650円/kg:13.2km/L相当
  • 2200円/kg:9.9km/L相当

水素自動車の燃費(計算方法:水素とガソリン比較)

もはや、この燃費性能では、経済合理性として、水素燃料電池車を買うメリットが無くなってしまいました。
これは、開始当初のハイブリッド車相当という、机上の価格設定(採算度外視)からスタートしているものです。昨今の円安や電力コストの高騰により、破綻するのは当然だったと言えます。
車両価格の高さ、燃料代の高さ、水素ステーションの少なさなど、バッテリーEVデメリットを語る次元に達していない、厳しい状況となっています。

満タンにした場合の費用例

5.6kgの水素タンクを満タンにする場合、2200円 × 5.6  = 12320円

ガソリンよりも、はるかに高額な水素燃料コストを見れば、ディーゼル車の輸送コスト高騰に悩まされるトラック業界において、問題外とも言える数字であることは、一目瞭然です。
水素燃料電池乗用車において、普及が難しい状況の中で、大型トラックでは水素の普及が見込まれるとする机上の空論が破綻していることが理解できると思います。

戦略的な価格設定が崩壊

  • 水素ステーションで販売された水素の価格は、1kg当たりの単価です。
  • 1kgで換算で11.14Nm3となります。

100円/Nm3とした場合の水素価格は、1,114円/kg

これは、ガソリン車やディーゼル車と比較して、戦略的な販売価格なのです。
pwcサイトより引用

経済産業省「水素基本戦略」で、2030年に30円/Nm3、2050年に20円/Nm3まで下げる目標を掲げているものの、技術的なブレイクスルーに至っていないようです。
これでは、ゲームチェンジどころか、市場評価も無謀な目標設定に呆れるレベルでしょう。

将来の価格設定は完全崩壊

  • 30円/Nm3とした場合の水素価格は、334円/kg
  • 20円/Nm3とした場合の水素価格は、223円/kg

上記を見ると、現在の製造コスト低減は全く進んでいない状況のようです。
これでは、水素製造コストは、減少に向かうどころか、かなり増加していることが見て取れます。

2024年の実態

  • 148円/Nm3とした場合の水素価格は、1650円/kg(見込みより約1.5倍高騰)
  • 197円/Nm3とした場合の水素価格は、2200円/kg(見込みより約2.0倍高騰)

1.5倍や2.0倍という価格設定を見れば、これが戦略的な価格設定となっていることが明確であり、市場の調達コストや価格変動応じた、変動価格相場となっていないことに気が付くと思います。

水素ステーションに競争という文字は無い

ガソリンスタンドであれば熾烈な競争が繰り広げられています。
しかし、販売元の固定価格制は、水素スタンドチェーンにおいては、無縁の世界なのです。

高いスタンドは潰れるのが普通ですが

単にイワタニ1650円とエネオス2200円といった販売供給元の違いによる固定価格に違和感を覚えます。コレだけの価格差です。ガソリンや軽油などの化石燃料では有り得ないでしょう。
首都圏のように水素ステーションが近隣にあれば、必ず安い方に流れて、高い店は潰れる可能性が高いでしょう。
それでも撤退しない、潰れない場合は、店舗維持のために何らかの補助が機能していると思われます。

普及しないのは国の問題なのか

自動車評論家の意見として、「使い勝手は何の問題も無い燃料電池の乗用車、国に潰されました。」という記事を見かけました。

  • そもそも国内自動車メーカーの後押しで、水素を推進したが、思ったほど普及しなかった。
  • 世界は、水素も掲げてはいるが、メインは電気自動車
  • 世界は、水素も掲げてはいるが、むしろ低迷、衰退の傾向が強い

日本としては、もう水素への補助金投入を止める段階に達している段階ではないでしょうか。

BMWの水素燃料電池車の今後

BMW水素燃料電池車の価格と発売時期とは
BMWでは水素燃料電池車として、X5をベースとした試験車両が登場しています。興味のある方も居ると思いますが、今後の市販化予定を含むBMW社の動向を解説します。

再生エネルギーによる安価な水素生産の将来性

よく語られる話として、再生エネルギー(太陽光や風力発電など)を利用した安価に電力により、水素製造コストを下げ、水素を代替エネルギーとして蓄電する用途が考えられます。
しかし、水素を超低温で貯蔵、圧縮し、水素スタンドに送り届けるインフラ構築には莫大なコストがかかります。

水素燃料電池車を販売する目的が最優先され、水素供給インフラ整備を国に丸投げしたツケが回ってきたのです。

  1. この時期にきて、自動車メーカーが水素インフラの拡充に投資する話も出ていますが、後の祭りです。もはや、誰の目にも以下の状況が明らかとなっています。
  2. 水素燃料電池車の市販化目標は達成できた (2013)
  3. ハイブリッド車に代わる次世代後継車として、戦略目標に掲げる (2014)
  4. よって、バッテリーEVは後回しで良い (2014)
  5. 水素製造から、ユーザーまでの供給インフラに無理が有った (2016)
  6. コスト度外視、次世代水素のためには、補助金垂れ流しでも推進すべき (2016)
  7. 水素燃料電池車で先進国の日本も韓国もその普及で失敗
  8. 世界では、水素施策については、試験レベルに留まり、普及の気配なし

時期尚早であった、水素政策は失敗であったと認める段階に来ているようです。
水素燃料電池車の施策を優先したことで、EVを後回しとし、EV出遅れとなりました。
全方位戦略という名の水素戦略は、2050年まで続きそうです。

水素販売価格とは?大幅値上げのまとめ

トラックは、バッテリーEVよりも水素燃料電池車の方が水素タンクの搭載などでのメリットがあるとされています。しかし、世界では試験レベルに留めていることには理由があるのです。

水素製造には大量の電力が必要

水素燃料電池車により「自動車製造の雇用を守るという目的」を優先させた結果がコレです。

水素の水素製造や保管維持には、大量の電力が必要なのです。
再生エネルギーによる電力をそのまま利用するバッテリーEVの方が効率的であり、水素製造がいかに非効率であるのか、それを車に提供する工程が非効率であるのか、ブレイクスルーは、まだ先になりそうです。

水素製造インフラ、水素流通インフラ、水素製造の技術革新スピードが、バッテリーEVに対して全く追いついておらず、もはや追いつくことが不可能な時期に来ていたことは、2015年頃の水素燃料電池車の普及状況を見れば、明確に未来の状況が予測出来たのです。

よって、水素普及は国策の推進不足が問題ではないという「まとめ」です。

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