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EVバブル崩壊は嘘、欧州車電動化と日本車優位の崩壊

BMWコラム
FUN君
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BMWやメルセデスの48Vマイルドハイブリッド化、PHEV化が進んでいます。
欧州市場の動向を背景とした電動化の流れを解説します。

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2025年のCO2規制強化に向けて

欧州では「Fit for 55 package」が採択され、欧州域内では罰則規定を持ったルールが施行されています。

引用元:https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20230210IPR74715/fit-for-55-zero-co2-emissions-for-new-cars-and-vans-in-2035

2035年の削減目標

新車の乗用車と小型商用車のCO2排出量を2021年と比較して100%削減するというEUの全車両の目標です。

2030年の中間排出量削減目標

  • 乗用車:55%削減
  • 小型商用車:50%削減

2021年と比較し、乗用車で55%削減を図るものです。この強烈な規制により、純内燃エンジン車は全てクリアできず、トヨタ製ヤリスですら、全く歯が立たない数値であることが分かります。

2025年の中間排出量削減目標

  • 乗用車:15%削減
  • 小型商用車:15%削減

2025年以降、2029年まで、2年毎の段階的な規制強化が実施。
2021年と比較し、乗用車で15%削減を図るものです。この規制強化により、純内燃エンジン車は全てクリアできません。欧州メーカーの48Vマイルドハイブリッド化は直近の規制強化対策と言えます。

欧州メーカーのHV化推進の実態

近年登場したフルモデルチェンジ車は、全て48VマイルドハイブリッドやPHEV(プラグインハイブリッド)が搭載された内燃エンジン車(ICE)の占める割合が多くなっています。
すでに欧州製ICEは、電動化対応済の車がメインとなっていることを示しているのです。
メルセデスのBSGやISGなどのマイルドハイブリッド車は、上記のHEVに含まれます。
日本製ハイブリッド車が数字を稼いでいる訳では無く、欧州車が自らCO2規制強化に向けた対応を実施していることが、わかります。

日本メディアの誤報

VWのディーゼルゲート事件後、日本製ハイブリッド車に勝てないからBEVにシフトしたかのような、誤った記事が溢れているのが日本メディアの内容です。
しかし、欧州車事情に詳しい皆さんであれば、誤報であることを理解されていることでしょう。

BMWのBEV

2010年代前半、「BMW i3」などは日産リーフと同時期に登場しています。

BMWのHV

2010年代の「ActiveHyblid3/5/7/X5/X6」など、高速型ハイブリッド車のラインナップが充実していたことがわかります。

トヨタと提携したBMWはトヨタ製THS/THS2に興味を示しませんでした。日本製のストロングハイブリッドは、欧州の高速度域に対応しておらず、低速渋滞域に特化したもので、使い物にならなかった事がわかります。(トヨタ・BMW提携は、Z4のハードをスープラに供与したのが最大の結果です)

BMWのPHEV

2015年以降、「225e/330e/530e/745e/50e」などのPHEV車ラインナップも充実しています。
日本車ではプリウスPHEVが登場した頃ですから、いかに欧州メーカーの動きが早いのかが理解できると思います。

日本メディアはWLTC燃費で自画自賛

2010年代後半、アクア、プリウス、ヤリスなど、燃費数値で勝利したと酔いしれていた日本メーカーです。低中速域に特化した日本製ストロングハイブリッドの独壇場であることは、その通りです。

欧州のWLTP(EXTRA HIGHモード)では悪化する日本車

時速130kmのアウトバーンなどの高速域を意識した欧州向けとしては極端に悪化する日本製HVです。排気量拡大を行うプリウスは、ダウンサイジングの流れとは逆行する排気量拡大は、高速域のパワー不足を補うために他なりません。

2030年の55%削減という直近の目標に対して、すでに過去の技術となってしまったハイブリッド車の性能を日本メディアは理解していません。

そして、CO2規制のスピードが早まり、EV出遅れと叩かれたのは記憶に新しいところでしょう。
欧州勢の実態は、BEVだけに特化して電動化を進めたのではなく、HVやPHEVの取り組みも早く、その技術がベースとなっているのですが、日本メディアは一切報じません。

EVバブル崩壊の嘘

2029年の予想図

引用元:ECEEE
現状のBEV比率から見て、実現不可能な2029年予想図となっており、それは欧州車メーカーにとっても未達成となることは容易に想像できるでしょう。

欧州メーカーの本音

欧州メーカーにとっても、ハードル高さから規制に反対しており、積極的にBEV化を推進したわけではなく、BEV専用プラットフォーム、BEV/ICE専用プラットフォームなど、電動化を見据えた体制構築を進めてきた過ぎません。

メーカー側の延期発言は既定路線

EU/欧州規制が先行し、欧州メーカー自体は望んだものでないBEV化の実態です。
近年、VWやBMW、メルセデスなど、BEVの不振から予定変更や生産縮小のニュースが流れています。もともと無茶苦茶な2029年予測を見ても明らかです。これは、当然の結果でもあり、メーカー毎のゴールポスト変更発言は、規定路線とも言えます。

ただし、欧州政府が合意した「Fit for 55規定」自体は、何ら変更はありません。このゴールポストが変更にならない限り、日本車の勝利宣言はありません。

痛みを伴う電動化の対応が完了

BMWやメルセデスでいえば、ATトランスミッションと一体化したISG(エンジン始動・駆動モーター・AT)やPHEV化を進め、部品点数削減や高効率化により、内燃エンジン全廃の体制も整っています。
ICE/BEV共用プラットフォーム化も日本車よりも先行して進んでいます。
この電動化移行に伴う、生産体制の変更については、メーカー・関連企業の痛みを伴うものです。この体制移行も日本メーカーよりも早く、構築済となっていると言えます。

欧州やドイツ経済の流れとBMWの関係
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EVバブル崩壊の嘘:まとめ

世界のCO2規制、ゴールポストは動いてない

欧州市場で言えば、直近のゴールに向けて、2025年、2030年、2035年、それぞれのゴールポストは全く動いていません。単にメーカー独自の状況がニュースで流れただけです。
それだけで、EVバブル崩壊などと、勝利宣言が飛びだす日本メディアの状況です。

BEVとICEの生産体制が整った欧州メーカー

  • テスラやBYDとの差は開く一方
  • 欧州勢の先行投資は、追いつくどころか、差が開いたまま
  • BEV工場とICE工場の分担を明確化し、日本メーカーよりも一足早く体制整備を実施
  • BEV/ICEのプラットフォームでも日本メーカーより先行
  • 生産体制で言えば、日本メーカーの10年先を進む

ICE投資も積極的な欧州勢

  • 欧州の2025年、2030年のCO2規制強化は罰則規定あり
  • 純内燃エンジンが規制を越えられず、電動化待った無し状況
  • 積極的なMHEV/PHEVのラインナップ強化をおこなっています(積極投資)
  • それは、欧州のHV/PHEVシェアからも明らかです

現実を見ず、論点ずらしの日本メディア

  • 直近のゴールポストは2050年ではありません。2035年です。
  • FCEV、CNF、e-fuel、全固体電池に希望を抱く時間など、残されていないのです。
  • 欧州メーカーの軌道修正は、もともとの既定路線。BEVに全振りしてるわけでもない

欧州CO2規制に翻弄される欧州メーカーの動向

  • BEV一択とも言える今後の規制強化に対して、テスラ、BYDの2番手に位置するのが欧州メーカーです。
  • 問題先送り日本に対して、欧州では一足先にBEV前倒しの体制強化は、すで整ったのです。
  • BEVとIEC体制のバランス両立、さらなるコストダウンを進めるだけです。

結論:EVバブルは崩壊していない

  • EV化にややマイナスなニュースが流れただけで、規制の本丸は全く緩んでいない
  • 今、日本勝利を叫ぶ段階には程遠く、EV出遅れの状況にかわりない
  • 日本メディアの誤報っぷりには目に余るものがあり、日本のHVガラパゴス化に拍車を掛ける
  • そのような環境下、日本では、BMW製BEVが売れる環境に無いことは確かです

 

 

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