
BMW1シリーズのF20型までは、エントリーモデルからFRの後輪駆動によるフルラインナップがベースとなっており、FFを避けていました。
しかし、2019年の1シリーズ新型(F40)は、FFモデルとして登場しました。結果として「FF化した」理由を解説します。
FF化されるという話が広まった背景
UKL1プラットフォーム(FF・4WD)を用いて多車種に展開するという関係者からのアナウンスが元になっています。その情報を元に欧州雑誌がいかにも本当らしく作ったイラストが下記になります。
2014年の時点では、FF化について信憑性に欠ける創造CGに留まっている状況でした。
2010年代前半は実現性・市場規模は微妙
2シリーズのアクティブツアラーやグランツアラーというBMW初となるFFモデル小型SUVの登場しました。アクティブツアラーに採用されているFFプラットフォームは、新型MINIのUKL1プラットフォームを共用しています。
MINIは、4WDや2シータークーペのホットモデルへの展開もあります。
2シリーズのアクティブツアラーはFF採用ですが、現行1シリーズとは全く無関係です。
これらのFFモデルは、2シリーズ名乗っていますが、クーペやカブリオレとは全く別ものです。
アクティブツアラーが2シリーズを名乗っている理由は、メルセデスのBクラスの対抗馬であり、Aクラスより上級のBクラスと合わせるためです。結果、1シリーズより各上の2シリーズを意味しているのです。2シリーズのクーペは当然、FRを採用しブランドイメージの根幹を成しており、エントリーモデルの1シリーズも例外ではありません。単なるコストダウンとしてのFF化は有り得ないのです。
当時の1シリーズF20型はFRベースシャーシを採用
現在の1シリーズF20登場当時、すでにFFベースUKL1シャーシが登場しており、これをベースとした1シリーズは登場しませんでした。
FRブランドを貫くBMWとしては、初代1シリーズのE87同様に後輪駆動コンパクトセダンのブランドイメージを継承したかったのでしょう。
海外サイトのガセネタには注意
AUTOCARなどの海外サイトの記事をを日本国内のコピーブログが一斉にコピーするため、情報があたかも本物らしく拡散されてしまいます。
しかし、BMWの本質を見極めながら斜め読みした方が良いでしょう。
少なくとも1,2,3シリーズ共用シャーシは、現在1シリーズだけですが、ボディサイズが小さいからという理由だけで、アクティブツアラーのFFと共用させるメリットは無いのです。
2015年時点ではメーカー公式見解はFRだった
ジュネーブモーターショー2015において、BMWグループのKlaus Frohlich研究開発担当取締役がマイナーチェンジしたF20型1シリーズについてスピーチしたました。
「1シリーズは、プレミアムコンパクトセグメントで唯一、後輪駆動が基本。前後重量配分も50対50」・・・。
と断言しつつ、F20の後継モデルでFF化する可能性は低いと判断されていました。
BMWの開発者がFR継続を要望の記事
ttp://www.autoevolution.com/news/good-news-bmws-r-d-boss-wants-the-1-series-to-remain-rwd-96939.html
研究開発者が次期1シリーズはFRのままを要望している記事になります。
後席と荷室の広さを求めるのであればFFの2シリーズを選択すれば良く、ライバル他車に無いFRの1シリーズをあえてFF化する必要がないという理由です。
一部欧州誌の妄想ネタ情報から拡散してしまったFF化情報も欧州側から軌道修正されつつある状況です。
広州モーターショー2015でコンパクトセダンがデビュー
広州モーターショー2015でBMWコンセプト コンパクトセダンがデビューしました。
写真のフロントオーバーハングの大きさからは、FF形式です。
BMWブリリアンスから、中国専用車として発売(2016/7/18)
広州モーターショー15に展示されていたが、他国のショーには登場しなかったのは理由がありました。それは、中国専用モデルというオチだったのです。
1シリーズのFFモデルはガセネタだと投稿したのが、2015/5/15。結果的に登場したことになります。過去、中国専用として開発されたロングホイールベースモデルが、グランツーリスモとして、形を変えて登場しているケースはあります。(生産は中国以外)
このFFセダンが形を変えて中国以外に展開されるのかは、今のところ未定です。今のところ、中国生産に限定されており、中国以外への展開は無いと予測します。
特に日本向けは無いと思われます。
メルセデスAクラスセダンやアウディA3の動向次第では・・・という点もありますが、中国製嫌いの日本ユーザーは拒絶反応を示す可能性が高いです。
中国専用モデルのFF1シリーズ投入後、半年以内に他国での発売がなければ、F20の次の1シリーズについて駆動形式はFFとならない可能性が高くなります。
中国市場以外にはFFを提供しない(社長談2016/6)

ガセネタ情報の多いAUTOCARです。写真は、M2をベースとしたセダンCGなのにも関わらずグランクーペにM2登場という意味不明のタイトルとなっています。あまりBMWに知識の無い方や調べが足りない方の予想CGが多く、かなりレベルが低いという感想です。
FFモデルの他車種展開を予想したAUTOCARの予想とは裏腹に、まともに登場したのはアクティブツアラー、グランツアラーぐらいなのです。
少なくとも短期的には中国市場以外にはFFのコンパクト・セダンを提供しないというBMWのチェアマン、ハラルド・クルーガーの決定に従ったものだという。
上記が正しければ、次期1シリーズFRで登場すること判断されました。
BMWは、FRをブランドコンセプトとして重要視しているということになります。
ネット情報が拡散し、3シリーズFF化の妄想も
ネット上では、AUTOCARのガセネタを信じた1シリーズFF信者が、そのうちに3シリーズもFF化するなどという妄想を発言するようになっています。2シリーズアクティブツアラーやX1は、コンパクトボディとシャーシのコストダウンを兼ねてFF化したことは納得できます。
どちらもSUVモデルであり、FRにこだわるユーザーは少ないからです。
2016/12時点で、中国の1シリーズについては、まだFFモデルが導入されていないようです。
中国市場投入後、中国以外の1シリーズがFFモデルに追従するのかしないのか、そこが今後の見極めポイントになりそうです。
しかし、1/2シリーズのFF化を実施
このサイドからの写真について、フロントのオーバーハングの長さは先行デビューの中国向けセダンに似ています。この写真からはFFであることが確認されました。
FFの2シリーズでは、他メーカーからの乗換えが違和感なく行われています。
一方で従来からのFR派BMWユーザーにも受け入れられているようです。
FF化の理由まとめ
- コンパクトなCセグメントは、FFの前輪駆動の方が居住性などのパッケージ効率で都合が良い
- BMWミニとのコンパクトなCセグメントとして、プラットフォームの共有が必須事項であった
- BMWミニとしてFF車のハンドリングとしても技術的なフィードバックできた
- ライバルのメルセデスAクラス、BクラスもFFモデルで市場から受け入れられていた
BMWのブランドであれば、駆動形式は問わない派が実は多いのかもしれません。
すでに1シリーズのFF化も2代目となり、ハンドリングを含むバランスの点において、BMWのブランドのスポーツイメージを継承できるFFコンパクトセダンが定着したと判断できそうです。
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