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トヨタよりBMWの方がEVやPHVで進んでいる理由

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FUN君
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2020年に入り、欧州のEV化が加速しました。一方でトヨタEV出遅れという見方がマスコミを賑わすようになりました。その実態をBMW視点で解説します。

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HV車で世界一とガラパゴス化を加速させた評論家

低中速域に特化した日本製ストロングハイブリッド

日本製HVは、低中速域に特化したストロングハイブリッドであり、アウトバーンなどの高速域が多い欧州では、日本製HVのパワー不足や燃費の悪化が目立ちました。

2010年代前半から、欧州各社はプリウスを参考とせず、複数のHV型式での開発と市販化を進めていきます。日産車VQ35HRエンジンなども同様、高速域を含む幅広いレンジに応える性能です。

日本のHV車はガラパゴスだった

日本のマスコミ紙面では、下記の主張が見られました。本当でしょうか。(2018-2020)

  • 欧州車は、ハイブリッド車では日本車に追い付けなかった。
  • ディーゼルの排ガス規制で問題を起こした。
  • 欧州のHV遅れを挽回すべく、日本車に不利なEV施策、制度改革を推進している。

それは、下記に記載する欧州車の背景や事情を全く理解していないからです。

欧州の実態・事実は、先進的

BMWは、2000年代に水素自動車を先々代7シリーズ(E65型)で登場させています。
一方でハイブリッド車アクティブハイブリッド7を2009年に市販化しています。ちょうど2代目プリウス末期の時期です。欧州では、日本車のような燃費重視で低速域アシストのハイブリッドでなく、高回転域のパワーをアシストする方向で利用されています。

2011年にトヨタとBMWは環境技術で提携しています。
平均速度の高い欧州にはハイブリッド車は実用的ではなく、直噴ディーゼルターボに対して、高速域で燃費が悪化し、パワー不足なハイブリッド車に存在価値は無いと見切ったのです。
トヨタのハイブリッドの根幹はTHS2のトランスミッションの出来の良さですが、BMWとトヨタ提携によって、トヨタHV技術は、その後に登場するBMWハイブリッド車に全く見られません。

BMWのPHV(プラグインハイブリッド)ラインナップ

2シリーズから7シリーズ、Xシリーズとラインナップも豊富です。(2018年5月時点

ダウンサイジングターボで高速域のパワーと実燃費を低減しつつ、モーターによるアシストというプリウスの先を行くPHV車を登場させています。

  • BMW X5 xDrive40e
  • BMW X1 xdrive25e
  • BMW 225Xe
  • BMW 330e
  • BMW 530e
  • BMW 740e

このラインナップを見ただけでも、トヨタ車が、いかにHEVの進化形態である、PHVで出遅れているのか、理解できるでしょう。欧州車は、まともなHV車が無いとする説、ディーゼル失敗説は、完全に誤りであり、トヨタよりもEV化を推進する土台は、すでに揃っていたのです。

BMWのEV車も以下のラインナップ

BMW i3(EV専用車)の登場は、2013年

i3も、マイナーチェンジを行い、さらにEV単独航続距離も伸びています。
レンジエクステンダー(発電用エンジン)も搭載したモデルもあり、ボディはカーボン製です。
EV車のコンセプトとしても最先端の内容となっています。

  • BMW i3
  • BMW i8

それに引き換え、トヨタはプリウスPHVのみで、2015年時点、2020年時点でトヨタEV車は一台もありません。いかにトヨタEVが出遅れているのか理解できるでしょう。
トヨタHV技術があるから、すぐにでも技術転用できる。遅れを取り戻せるなど、トヨタ社長の発言やジャーナリストの擁護は負け惜しみでしかありません。

トヨタHV車のラインナップは充実していますが、より先進的なPHVのラインナップは非常に貧弱です。トヨタとBMWは提携し、トヨタのHV技術が流用、転用されるかと思われましたが、蓋を開けてみれば全くそのような状況にはなっていません。
BMWも提携先のトヨタが古臭いHVにこだわっている点で見切りを付けたのでしょう。
提携を解消したテスラも同様ですね。

BMWとトヨタの立場逆転の実態

むしろスポーツモデルのBMW Z4ベースのトヨタスープラが登場するという立場逆転の模様です。

BMWのPHVもモーターとバッテリーのパワーユニットを各シリーズで共用するというコストダウン戦略です。もはや数的にもプリウスPHVが劣勢のようです。

トヨタ提灯記事のジャーナリストは、ドイツ車や欧州事情の本質を理解していない記事が多いです。

ハイブリッド技術に傾注するあまり、EVで出遅れたトヨタの実態を素直に受け入れるべきでしょう。
BMWでは、PHV,EV,カーボンボディでもコスト的に割高な初期投資の時期は、すでに過去の話です。
既にコスト回収フェーズに入っているからこそ、欧州でのEV切り替え戦略が実施できたのです。

トヨタのHV,PHVは、モーターやバッテリーというEV基礎技術というよりも、THS2(トランスミッション)の出来の良さが全てなのです。
この点では他メーカーは、数値的に及ばないのですが、THS2も画期的な進化もなく、それは2代目プリウスから基本的に変わっていません。
しかし、世界的にはHV車は過去の技術となっており、税制上のメリットもありません。
この点でもBMWが提携先のトヨタHV技術に見切りを付けた理由です。

欧州メーカーは、48Vマイルドハイブリッドを全車標準

欧州のCAFE規制強化により、欧州メーカーは燃費性能の向上が迫られ、全車48Vマイルドハイブリッド装着車に移行しています。
結果、欧州域内でのハイブリッド装着車のシェアが伸びました。これは、欧州メーカーで自ら稼いだ数字であり、近年では日本車が韓国車にも抜かれる状況です。

欧州メーカーでもストロングハイブリッドの市販化

ルノーもドッグクラッチを用いたストロングHVの市販化に至りました。
低速域の燃費数値ではTHS2に劣るものの、ダイレクトは走行フィールはルノー製に軍配が上がるでしょう。

海外でBMWのEV/PHEVシェアに勝てない日本車

2023年のEV普及率

日本ではEV軽視の施策により、蚊帳の外というイメージですが、海外では着実にのシェアが伸びているのです。

国名EV普及率
ノルウェー93.0%
アイスランド71.0%
スウェーデン60.0%
フィンランド54.0%
デンマーク46.0%
ベルギー41.0%
中国38.0%
オランダ35.0%
ルクセンブルク32.0%
ポルトガル32.0%
スイス30.0%
アイルランド27.0%
オーストリア26.0%
フランス25.0%
ドイツ24.0%
イギリス24.0%
イスラエル19.0%
ギリシャ14.0%
ニュージーランド14.0%
アラブ首長国連邦13.0%
カナダ13.0%
スペイン12.0%
オーストラリア12.0%
コスタリカ12.0%
ラトビア11.0%
スロベニア11.0%
ハンガリー11.0%
ルーマニア11.0%
トルコ10.0%
アメリカ合衆国9.5%
イタリア9.2%
エストニア8.8%
キプロス8.8%
韓国7.9%
リトアニア7.5%
ポーランド6.6%
スロバキア6.1%
ブルガリア5.8%
チェコ5.4%
セーシェル5.0%
クロアチア4.6%
コロンビア3.9%
日本3.6%
ブラジル3.0%
インド2.0%
メキシコ1.3%
南アフリカ0.3%
チリ0.3%

2023年 EV全世界シェア

テスラに加えて、EV施策を推進した中国・欧州メーカーがベスト10に入っています。ポイントは、このランキング内に韓国メーカーが入り、日本メーカーが圏外である点です。
HV技術はEVに流用可能であり、EVでも強みを発揮できるという言い分は、実現できていないようです。

2023年 PHEV全世界シェア

EVに加えて、PHEVのシェアです。エンジンとモーターとの組み合わせですから、ブルーのグラフは、老舗のエンジンメーカーが強いかと思えば、そのような図になっていません。
HV技術はPHEVに流用可能であり、PHEVでも強みを発揮できるという言い分は、実現できていないようです。

破竹のBYD製PHEVに対して出遅れた日本車とBMWの状況
日本車は正しかったとする日本メディアが溢れている中で、中国製PHEVに席巻された中国市場です。HEVの延長線上、いつでも巻き返せるという理屈は、過去のものとなりました。日本車やBMWの状況を解説します。

トヨタよりBMWの方がEVやPHVで進んでいる理由:まとめ

最新モデルでは、内燃エンジンは全車48Vマイルドハイブリッド化を進め、フルBEV、PHEVも含めて、海外でも、ランキング上位でシェアを確保しているのがBMWです。
これが、真の全方位戦略として、老舗エンジンメーカーが進むべき、本来あるべきロードマップでしょう。
よって、PHEV/EVでベスト10圏内に入ってもいない、日本車が危ういとされる実情は、2024年の現在も変わりません。

トヨタの動向

2023年度のEU圏での全メーカーシェアです。トヨタのHPを見れば、ハイブリッド・PHEV・BEVという厳選された最強の布陣で臨んでいます。その販売成績がヒョンデにすらに劣る状況です。
日米圏では圧倒的なトヨタですが、欧中圏では異なる実態を国内メディアが一切報道しない点がポイントです。

BMWの戦略と動向

BMWでは、ICEとBEVについて、共用のプラットフォーム・エクステリア・インテリアとなり、駆動部がICEかBEVかの違いになります。この点では、市場の動向により、生産をコントロールできるメリットがあります。
BMWでも純BEV車の生産工場への集中化とシフトを進めていますが、VWほどのダメージは無いようです。(BEV専用プラットフォームは2025年登場予定)
また、中国市場での欧米車低迷、欧米市場での中国車高関税により、市場動向は厳しい様相ですが、BMW規模の生産台数でも一定の世界シェアを確保できていると言えます。

EV市場にブレーキが完全に掛かったような国内メディアのニュースが流れますが、世界市場では伸び率が鈍化するのか、まだ正解は出ていない状況です。この状況でHEV勝利宣言は早計ですね。
当然、近年のニュースに対して、ホンダ、日産は電動化シフトの計画を変更していません。

失敗確実のFCEVについて、BMWはトヨタとの提携で試験車開発を早々に終え、10年が経過したものの、市販化についてはメディア向けアピールに留めており、したたかな戦略です。
BMWは全方位戦略としても、本来あるべき老舗エンジンメーカーとしてトップレベルのフル電動化シェアを確保しており、トヨタよりも進んでいると言えるでしょう。

コメント

  1. BADW より:

    またしても的外れなんだよね。

    同じ車格で見ると
    ハリアーPHVはバッテリーのみで93km、トータル航続距離1128km タンク容量55L

    X3PHVはバッテリーのみで44km、トータル航続距離590kmタンク容量50L
    もう圧倒的なんだよね。

    ちなみにハリアーのHVは1000km以上走るしガソリン車でも800km走る。
    どんな無知でもこれでPHVはベースとなるエンジンやHV技術がどれだけ重要かがわかるよね。BMWはそこが全然出来てない。

    BMWのPHVはトヨタのHVどころかガソリン車にも圧倒されてしまってる。

    トヨタの場合、ガソリン車ですらBMWのPHVより遥かに燃費や環境に良くわざわざ充電する手間もいらないHVやガソリン車も売れる。

    BMWの場合、燃費や環境に良い車に乗ろうと思ってもEVかPHVしかない。なんちゃってHVは論外だし、そうなると選択肢はEVかPHVしか無いから多少売れてるだけ。
    そんな実情すらわからないからBMWのPHVのほうが売れてるから〜と勘違いしちゃってる。

    ちなみに販売台数で見るとトヨタはHVだけで359万台売れてBMWは全て合わせてもたった255万台しか売れてない。

    • bmwfun より:

      圧倒しているにも関わらず、トヨタPHEVが売れてないため、EV/PHEVランキング上位に入れないんですね。
      全方位というのは名ばかりの戯言であり、「HV一点集中」でしたね。失礼しました。
      そもそも生産・企業規模が全く違うトヨタなのに、小規模メーカーに対して、軒並み販売台数で劣る部分があるのは問題ですね。
      PHEVは、日常利用はBEV主体なので、総航続距離を重視するPHEVユーザーっていないと思いますよ。
      日常利用がBEV主体で走行できれば目的は達成してるのがPHEVですからね。
      (日本の自動車の年間走行距離の平均は、2023年時点で6,791km。日々の用途はPHEVの純EV走行で十分かもね)

      いずれにしても欧州圏では、PHEV/HVのラインナップを増やしてるトヨタなのに「ヒョンデにすら」年間台数で劣るってマズイよね。(HV/PHEV性能は圧倒的に良いのにね)