BMWという一般向けモデルにおいて、中古車の希少価値があるのは、どのようなモデルなのでしょうか。内燃エンジン専用モデルが廃止され、電動化への移行に伴う影響も解説します。
希少価値化するのに時間が掛かる
新車価格を超えていないものは、単なる中古車
BMWの場合、量産車であり、フェラーリのような希少生産車ではありません。
BMW Mモデルやアルピナであっても一定数・相当数が市場に出回っており、希少価値化するに時間が掛かります。
30年前のE36M3でさえ、新車価格を越えない
少なくとも流通台数の多い、日本製スポーツカーの方が、新車価格よりも値上がりしている可能性が高いです。特に日本製スポーツカーのGTRやスープラは、米国の25年ルールにより高騰している例が見られます。ただし、高騰する例は一部に限られ、古い日本製セダンはスクラップ率が高いです。
E36型のM3でさえ、中古車が新車価格を超えるほどの希少価値化に至っていません。
旧車でも古ければBMWも希少価値化するのか
以下が、新車価格を超える中古車価格となっているBMWモデルです。
やはり、人気モデルや希少モデルに限られる
- 2002
- 3.0CS
- E24 M6/M635csi
- E30 M3
- E46 CSL
- M1
- Z1
- Z3 Mロードスター、Mクーペ
- Z8
以下の例外を除き、中古車価格の下落は避けられない
- ビンテージカー(50年以上前)
- 超低走行車(1000キロ未満など)
- 極上な保管状態(完全屋内保管、錆無し)
- 人気モデルといえども、程度が悪い場合、レストアは見送られ、部品取り車になる
- 雨ざらし車からのフルレストアは、非常に稀なケース
BMWのMモデルも量販車は値下がりが避けられない
特にBMWの場合は、鮮度が重要となり、10年から30年前ぐらい前までの古い中古車について、値下がりが激しいようです。30年を超えると、やや下げ止まり感が出てくるモデルもあります。
ただし、廉価・多売グレードなどの流通台数が多いグレードは程度により、スクラップ行きの可能性も高く、内外装の程度が良い低走行車のみが残存していきます。
BMWのような量販車生産メーカーにおいては、「E46 M3CSL」のように、非常に希少性の高い限定モデルでないとプレミアが付くような価値が生まれ無いと言えます。
電動化移行で内燃専売モデルに希少価値が出るのか
8シリーズやX4の廃止で、中古車価格が値上がりする?
このようなネットの記事もありますが、一切ありません。
プレミアが発生する車は市場に出た瞬間に、中古車も高騰します。
今時点で、高騰していないX4Mモデルの値上がりは見込めません。
PHEVの代替モデルが、廃止モデルの後継車
なぜ、値上がりしないのでしょうか。希少価値が出ないのでしょうか。
理由は、後継モデルとしてPHEVモデルが用意されているからです。
エンジンとモーターの組み合わせにより、内燃エンジンだけのMモデルよりも確実に動力性能が向上しているのが、その理由です。バッテリーによる重量増加をものともしない、圧倒性能です。
インテリアなども最新基準に一新され、あえて旧モデルを購入する価値はありません。
古いナビ、小さいセンター画面が価値を下げる
iDriveも古めのバージョンとなると、日々の使い勝手にも影響しますし、これらは運転中に視覚に入ります。操作するディスプレイ関連装備は、確実に古さを感じてしまうポイントです。
大排気量のNAエンジンが価値を下げる
2010年以降、ダウンサイジングターボや7/8AT化による小排気量化が進みました。合わせて低燃費化により、最新モデルほど財布に優しくなっています。
2010年以前の大排気量と5/6AT搭載車は、やや燃費も悪く、緩い加速フィールのNAエンジンです。
新車から30年、40年が経過したビンテージ車として価値が出るまで長く乗るには、維持コストも必要となります。
電子制御の満載がパーツ供給を難しくする
新車から20年ぐらいまでは、パーツ供給も滞りなく手配できますが、それ以上となると部品切れや代替品など、コストだけでなく部品入手やショップ選びなど、別の対応が必要となってきます。
近年の電子装備満載、ブラックボックス化は、他車からの部品取りなど、長期的維持のテクニックが必要となりそうです。
ガソリンスタンドの減少で内燃エンジンの維持も難しくなる可能性
日本では実感がありませんが、世界的にはEV化が促進され、ガソリンスタンドの淘汰が進みます。
超富裕層向けの「e-fuel」が一般化する可能性も低く、内燃エンジン車の所有・維持自体が難しくなる未来が予想されます。
今後の希少価値化とBMW:まとめ
- 中古車価値が新車を上回るのは、限られた一部モデルのみ
- Mモデルといえども値下がりは避けられない
- 下落傾向は、最後の内燃エンジン専用Mモデルでも変わらない
- 量産車のBMWでは、先代モデルまでが、中古車としてのニーズがある傾向
- 内燃エンジン専用モデルより、マイルドハイブリッド、PHEVモデルに人気は移る
- 中途半場に古いモデル(かつ電子制御満載)は、中古車価値を下げていく
- 大排気量モデルは、中古車価値を下げるスピードを速めていく
- ビンテージカーとしての価値が高まるのは新車から40年経過以降
そこまで適切な維持管理は難しく、基本的に淘汰されていく - EV/PHEVモデルは、今後のバッテリー再生処理に明暗が掛かっています
中古車価値があるものは、既に値上がりしており、対象は非常に限定したものとなります。
そして、近年のモデルにはそのような過大な期待は禁物です。むしろ全く望めない可能性が高いので、そのような購入動機でBMWを選ばないことを「まとめ」とします。
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